侍ジャパンの1次ラウンド全勝突破を見届けた日刊スポーツ取材班が、珍道中? を振り返る。

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侍ジャパンが台湾の拠点、新竹に入った11月2日、自分たちの宿泊先ホテルにチェックインすると見慣れた書体が目に飛び込んだ。「あれ? 日刊スポーツが置いてある」。

同2日付で、しかも東京23区内などで売られているような「8版」の新しいもの。中心都市の台北なら分かる。なぜ地方都市に最新の日刊スポーツが…。

受付の女性ホテルウーマンに聞くと毎日、日本から渡航する企業の出張者に届けてもらっているという。値段は1部100台湾ドル。約400円だ。日本の定価は140円。正規ルートではなく、闇営業が横行しているのか。それでもアジアの決して大都市ではない地で日刊スポーツを手に取ることができたのは、誇らしい気持ちになる。「私はこの新聞社で働いていて、プレミア12の取材に来ました」。愛らしい彼女は奇縁に優しくほほ笑んでくれた。

幸福感に包まれ、後に同宿していた49歳のダンディーなカメラマンに新聞が置いてあったことを伝えた。「この紙面の写真を撮ったのが自分です、と言ったら『サインが欲しい』と、せがまれてさ…」。ん? 俺は何も言われなかったぞ。同じ会社の看板を背負いながら生まれた格差。ルックス以外の何物でもない。

振り返れば、9月の稲葉監督のイタリア視察時もそうだった。直前に知人に言われた。「広重は髪が薄いけど、イタリアは薄い男性がモテるらしいから」。勇んで上陸したが深夜0時すぎにパルマ駅に到着し、15分に1台しか来ないタクシーを待つ長蛇の列に「一緒に乗りますか?」と誘ってくれるイタリア人女性は皆無。悲哀を台湾で再び味わうとは。【広重竜太郎】