「らしさ」ばかりを求めず、確実性を求めた。オリックス杉本裕太郎外野手(29)が、着実に結果を残している。

昨季までプロ3年間で通算13安打、うち7本のアーチを描いた和製大砲が、今季は「モデルチェンジ」で1軍生き残りをかけている。

春先には「バットを軽くしたんです。870グラムから800グラムぐらいに。ここ何年か、長打ばっかり求めて、1軍に定着できなかったので…。“らしくない”ヒットも良いでしょ」と不敵な笑みを浮かべていた。

愛称の「ラオウ」に似合う長打力が武器だが「大振りばかりはしない」と意識改革。「短く持ってインパクトに集中。フルスイングしなくても打球は飛ぶのは分かっている。確実性、そこを追求したい」と指2本分、バットを短く持つ打席も目立つ。

今季の前半戦はファームで鍛錬を積んだ。2軍戦は出場33試合で打率3割7分、3本塁打、12打点をマーク。中嶋監督代行が指揮を執ることになった8月21日西武戦(京セラドーム大阪)で今季初の1軍昇格。指揮官から「一緒に行くぞ!」とゲキをもらい「僕にとっては今日が開幕」と意気込んでいた。

昇格直後は1軍投手陣に苦戦し、8月の8試合で打率1割2分と思うような結果を残せなかった。だが、9月に入って「規格外」の対応力を発揮し、月間打率は16試合で3割9分6厘(19日時点)と状態を上げてきた。

シーズン開幕が延期された春先に「野球ができることが当たり前じゃなくなった。野球ができることは幸せなんだなと感じて、楽しく、前向きにやるだけ。結果は考えず、思い切ってやりたい」と話していたように、明るい表情でグラウンドに立つ。

9月は10日と18日の西武戦でともに1試合4安打の固め打ち。豪快なアーチとダイヤモンド1周も見たいが、塁上でニヤリとほほ笑む「ラオウ」も、これまた良い。【オリックス担当=真柴健】

9月18日、西武戦で中前打を放つ杉本
9月18日、西武戦で中前打を放つ杉本