広島に「バレルバット」の愛好家が増加しつつある。長さ86センチ、重さ約1500グラムで、グリップと芯の間がバレル(たる)形に膨れ上がった練習用のマスコットバットだ。正確なスイング軌道でより強い打球を打てるようになる狙いがあるといい、オリックス吉田正、西武外崎も取り入れた経験があり、メジャーでも使用されているという。カープでは野間、石原、曽根、大盛らが、練習で使用している場面をよく見かける。

2年目の宇草孔基外野手(24)もそのうちの1人だ。東京五輪期間中のエキシビションマッチが行われていた8月ごろ、野間、石原から借りたことをきっかけに「何度か振らせてもらって、『いいなー』と思いました」ととりこになった。自らも取り寄せ「使う人がどんどん増えていますね。僕は好きです」と明かした。

新兵器の手応えは十分だ。「思い通りにボールを捉えられないことがあった」という宇草は、スイングやティー打撃のはじめに「バレルバット」を用いたことで「こういう軌道でスイングしたいなと、それが自然にできるバットでした」と好感触を得た。「なんか『気持ち悪いな』と思った時に、あれを振ったらすごくいい感覚で振れる。自然に体に染みこんで、スイングの誤差がなくなってきた感じがあります」と説明した。

宇草は今月5日に1軍に昇格し、「1番」に定着。10月は打率3割3分8厘、2本塁打、4打点を記録し、シーズン終盤の追い上げに大きく貢献した。オフについても「もちろん振り込みます」と宣言した。

まだまだ日本球界への浸透は浅いようだが、数年後には「バレルバット」を試合前練習などで振り込む光景が、当たり前となっているかもしれない。【広島担当 古財稜明】

広島試合前練習 赤いバレルバットを使ってティー打撃練習をする宇草(撮影・加藤孝規)
広島試合前練習 赤いバレルバットを使ってティー打撃練習をする宇草(撮影・加藤孝規)