野球の国から

エンタメ性、権利関係…テレビマンがプロ意識注入

<最前線~動画と野球2>

今の野球少年や球児たちは、動画で自ら調べ、学んでいく。野球人たちが動画に引き付けられる理由を探っていく。

YouTubeでトクサンTVを運営する3人。右からライパチ、トクサン、アニキ。草野球チーム「天晴」に所属している
YouTubeでトクサンTVを運営する3人。右からライパチ、トクサン、アニキ。草野球チーム「天晴」に所属している

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YouTubeの野球動画で不動の地位を固めたトクサンとライパチの2人による「トクサンTV」。その裏には「アニキ」こと、平山勝雄さん(41)のサポートがあった。テレビマンのアニキが、番組制作のノウハウで2人を鍛えた。

意識したのはテレビ番組のエンタメ性。話し方や編集など、高い質を求め差別化を図った。ライパチは「アニキに完成した動画を見てもらっていた。冒頭30秒のあいさつの部分だけで『つまらない』って作り直されたりもしました」と懐かしむ。厳しさが優良コンテンツを育てた。

もともとは、アニキが同じ草野球チームに所属していたライパチに「人生を変えたくないんか」と誘ったことが始まり。なぜテレビマンがYouTubeに目をつけたのか。「動画で問題提起をして、みんなで野球について考える。それぞれのチームで共有していってほしいと思った」。草野球人だからこそ、視聴者にとっては親しみがわくと考えた。

取材に行き、視聴者と一緒に野球を学ぶ。最新の野球用具を紹介する際も、使ってみての率直な感想も言う。同じチームの仲間が感想を言い合うような親しみやすさがある。野球人の代弁者としての立場だ。

取材には細心の注意を払う。許可を取らず勝手に動画を撮影するユーチューバーも少なくない。アニキは「そこもテレビ基準。OKをもらわないと絶対に使わない。他の方たちと違うところは、この権利関係です」と胸を張る。動画はアーカイブとして永遠に残る。1人が問題を起こすと、他の動画投稿者に支障をきたすことも多い。プロ意識を持って撮影を続けている。

培ったスキルを生かし、野球界の人気向上にも力を入れる。トクサンTVは、今季からルートインBCリーグの「福井ワイルドラプターズ」を全面サポート。球団YouTubeチャンネルの制作に助言も送っている。BC・福井は昨年経営危機に陥り、存続が危ぶまれた。その危機にトクサンTVが立ち上がり、運営会社を設立した。トクサンは「プロの人がYouTubeをやったら面白い。何より、1球団減ってしまったら、選手にとってはNPBに行く可能性も減る」。アニキは球団GMに就任。球団の経営の肝であるYouTube運営の意思決定などを行っている。

野球の面白さや奥深さを伝えるために始めて、今では野球界に新しい風を吹き込む存在にまでなった。トクサンは「人生が豊かになりました」とライパチと顔を見合わせて笑った。これからも動画で、大好きな野球で、野球好きを楽しませる。【湯本勝大】

◆平山勝雄(ひらやま・かつお)1978年(昭53)10月4日生まれ。大阪市東成区出身。投手で高津高から神戸大。大学時の最速は147キロ。03年読売テレビに入社し、バラエティー番組の制作などを手掛ける。仕事の傍ら、草野球チーム「天晴」でプレー。今季からBC・福井のGMを務める。175センチ、80キロ。右投げ右打ち。

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