高原のねごと

ベネズエラに苦戦で思い出す、物議醸した外国人騒動

世界野球「プレミア12」が始まりました。11月5日に台湾で行われた初戦。ベネズエラに苦戦した侍ジャパンは逆転勝利を収めました。相手ミスに乗じた形ですが勝ちは勝ちです。これで勢いをつけていきたいところでしょう。

日本対ベネズエラ 逆転勝ちした稲葉監督は笑顔で選手とタッチをかわす(撮影・山崎安昭)
日本対ベネズエラ 逆転勝ちした稲葉監督は笑顔で選手とタッチをかわす(撮影・山崎安昭)

初戦が「ベネズエラ」と聞いて、阪神のコラムを年間通じて執筆させてもらった私は少々エキサイトしながら見ていました。

「ソラーテのとこやな…」。苦しい試合内容を見ていて、唐突に今年の阪神を襲った“外国人騒動”を思い出したのです。

今季、阪神に途中加入したベネズエラ出身のヤンハービス・ソラーテ内野手(32)。7月に来日すると同26日の巨人戦(東京ドーム)で日本デビュー即決勝2ランを放つなど後半戦の起爆剤に期待されました。

しかし、よかったのは最初だけ。結局、出場20試合で打率1割8分8厘、4本塁打、9打点。8月19日に2軍落ちしました。

なによりどこでも守れるという触れ込みだったはずの守備がどこも不安。試合に出すこと自体が難しかった面もあったのです。

それでも9月6日からの広島戦(マツダスタジアム)で1軍へ呼ばれました。そして球場まで来たのですが突然「モチベーションが上がらない」という理由で1軍登録を拒否。結局、そのまま“解雇”となったのです。

阪神を含めた野球の外国人騒動には慣れているつもりですが、モチベーションうんぬんというのはめずらしい。阪神谷本球団副社長兼球団本部長も「こんなのを許したらチームが成り立たない」と不快感を示していました。

一説にはソラーテが残り試合でのスタメン起用を要求したのでは、という話がありました。さらに、それについて一部で「1軍に上げた日にスタメン起用しないのはいかがか。プライドに配慮しないとダメだろう」などという意見もあったようです。

もちろん文化、慣習の違う外国人選手を起用する首脳陣に配慮、はっきり言えばテクニックは大事です。しかし同時に他国でプレーする側にも謙虚さ、まずは結果で見せるぞ、というものは必要でしょう。

大リーグ経験がある外国人だからと言って特別扱いで振る舞える時代ではないのです。正直、ソラーテ騒動のときは「ナメとる」と思ったものでした。

日本野球のレベルが世界的に見て、高いのは言うまでもありません。そこにはイチロー氏をはじめ、大リーグで歴史を築いた人々はもちろん、国内でも脈々と歴史を築いてきた先人の足跡があったからです。

確かに現在の日本プロ野球は大リーグに比べて、興行面など球界全体のシステムなどで劣っている面があることは否定できません。

それでもこれだけ愛され、親しまれ、国際的にレベルも高い日本野球を甘く見られてはたまらない、という思いはあります。

もちろん、そういうメンタルの持ち主を連れてくる方も連れてくる方で、これは阪神の問題でもあるのですが。

念のため書きますが、言うまでもなくベネズエラという国そのものに含むところがあるわけでも何でもありません。

同国出身ではDeNAラミレス監督、同じくDeNAソト、さらにはヤクルトなどで活躍したペタジーニ、古くは阪急マルカーノなど多くの名選手がいます。日本野球の歴史上でなじみも深い国です。それだけにソラーテ騒動が情けない思いがしたということです。

とにかく今回のプレミア12、しっかりと戦ってあらためて「やはり日本野球のレベルは高い。あそこでプレーするのは甘くないぞ」というところも世界に見せてほしいと思っています。

9月6日、この日1軍に合流も、球場でモチベーションが上がらず首脳陣と協議の結果帰阪することとなったソラーテ(撮影・加藤哉)
9月6日、この日1軍に合流も、球場でモチベーションが上がらず首脳陣と協議の結果帰阪することとなったソラーテ(撮影・加藤哉)

取材生活30年を超える古だぬき記者。吉本興業から宝塚歌劇団、あるいはヤバい人たちの取材から始まり、プロ野球ではイチロー日本一(96年)星野阪神V(03年)緒方広島連覇(17年)などの瞬間に立ち会った。日刊スポーツ大阪本社編集委員。

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