ブルペンで投球する日本ハム吉田輝星(右)と柿木蓮(2019年1月18日撮影)
ブルペンで投球する日本ハム吉田輝星(右)と柿木蓮(2019年1月18日撮影)

18年ドラフトは、高校生の逸材が視線を集めた。1位指名で大阪桐蔭・根尾昂内野手と報徳学園・小園海斗内野手に4球団、大阪桐蔭・藤原恭大外野手には3球団が競合。金足農・吉田輝星投手、天理・太田椋内野手も1位指名された。プロの世界に挑む高校生たちのこれまでの歩みを期待を込めて振り返りたい。

「自分は意識しますし、お互いに上がっていきたいとも話をする。負けたくないですね」

彼らしい言葉だと思った。日本ハムのドラフト5位、柿木蓮投手の言葉だ。18日にブルペン投球。同1位吉田輝星投手の隣でのピッチングだった。翌19日の紙面で、柿木がそう話していたことが掲載されていた。

「反骨心」で成長してきた。17年センバツ、18年センバツと優勝のマウンドにいたのは「二刀流」の同期、中日根尾だった。柿木は口癖のように「自分はピッチャーだけなので、そこは負けたくない」と繰り返してきた。

18年センバツで優勝した直後の春の府予選でベンチを外れた。地道に下半身強化に時間を割きながら、グラウンドの草むしりをしていた時間もあったが、くさることはなかった。迎えた夏の甲子園で、100回大会最速となる151キロを計測。春夏連覇の優勝マウンドにいたのは柿木だった。

10月のドラフト会議。根尾と藤原に次ぐ3人目に、テレビの会見が用意されていたのは実は柿木だった。結果は横川が先に指名され、柿木は4人の“最後”だった。

後日、そのときのことを「誰にも負けたくない。他の3人には、絶対負けたくないです」と語っていた。悔しさを隠さず表に出すのが、柿木の強さ。反骨の男は、たくましくプロで歩むはずだ。【磯綾乃】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

大阪桐蔭からドラフトで指名され記念写真に納まる、左から柿木蓮、根尾昂、藤原恭大、横川凱(2018年10月25日撮影)
大阪桐蔭からドラフトで指名され記念写真に納まる、左から柿木蓮、根尾昂、藤原恭大、横川凱(2018年10月25日撮影)