球団初の道産子1位が誕生した。「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が26日、都内で行われ、日本ハムが公言通り、苫小牧駒大の伊藤大海投手(4年=駒大苫小牧)を単独指名し“一本釣り”に成功した。最速155キロを誇る右腕は、新人王、23年北広島に開業を予定する新球場での開幕投手を目標に掲げるなど、プロでの活躍を誓った。

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伊藤はこの春から、プロ野球の見方を変えた。試合結果や気になる投手の内容など、ファンとしての視点ではなくなった。次の舞台を見据えた“仕込み”。「誰がどういう球を打つのか。セ、パ関係なく知っておきたかった。大卒は即戦力と期待される。準備は無駄じゃない」。打者の傾向やデータを調べ、対戦を思い描いた。

次の目標を定め、逆算して前に進む。その信念は幼少期から変わらない。野球との出会いは幼稚園年長時。父清光さん(49)に買ってもらった誕生日プレゼントが、青いビニール製のグラブと木製バットだった。多忙な漁師業を終え、家で楽しそうにプロ野球を見ていた父の背中を見て「いつかは自分が、あの舞台に立つ」と恩返しを誓い、ボールを追い掛けてきた。

鹿部小時代には札幌ドームで、偉大な先輩に目を奪われた。日本ハムの紅白戦を見て「オーラが違った。僕もダルビッシュさんみたいになりたい。自分が投げるなら見にいきたいと言われるような投手になりたいと思った」。その英雄と同じユニホームを着て、今度は自分が次代の球界のエースを目指す。

大学を再入学して、扉をこじ開けた。「普通じゃ難しい決断をさせてもらった。支えてもらった両親には本当に感謝したい」。21日が、母正美さんの50歳の誕生日。5日遅れの母へのバースデープレゼントになった。【アマ野球担当・永野高輔】

日本ハムドラフト1位指名を受け会見をする苫小牧駒大・伊藤(撮影・佐藤翔太)
日本ハムドラフト1位指名を受け会見をする苫小牧駒大・伊藤(撮影・佐藤翔太)