来春の第94回選抜高校野球大会(22年3月18日開幕、甲子園)の21世紀枠の地区候補9校が、日本高野連から発表された。
最北の札幌国際情報(北海道)から最南の大分舞鶴まで9校それぞれ、文武両道の学校生活や練習内容の工夫、地域貢献などさまざまな特色が選考の対象になった。また、半数以上の学校が部員の確保という難題を抱えながら奮闘していることがあらためて明確になった。
3年生が引退し2学年の人数とはいえ、「怪童」と呼ばれた中西太氏(88=日刊スポーツ評論家)を生んだ高松一(香川=四国)は部員13人。只見(福島=東北)は16人。対外試合ができない冬場にチーム内で紅白戦をやろうとしても、難しい人数だ。
「今のチームで秋の成績を残した。それがまずは大きかったと思います」と、丹生(にゅう、福井=北信越)の春木竜一監督は語る。秋は県4強入りし、3位決定戦では、のちに北信越王者になる敦賀気比と終盤まで競り合った。現在の部員数は女子マネジャー4人を含む31人。近年では多い方だという。
学校のある丹生郡越前町は越前ガニの水揚げで有名な越前海岸に近く、越前焼陶器の産地としても知られる。自然にも特産物にも恵まれた地域だが、町内に硬式野球のクラブがなく、小学生は町外のクラブに入ってそのまま町外での野球活動を選ぶ。人材の流出はあっても、入ってくるケースはほぼない。部員不足は、毎年の深刻な課題だ。
「今の部員たちは、広島入りした玉村にあこがれて入部してきてくれた世代です」と春木監督。プロ2年目から広島の先発ローテーション入りし4勝した玉村のように、スター選手の誕生は、中学生に学校への関心を抱かせるきっかけになる。さらに甲子園出場がかなえば、入部希望者が増える可能性は高い。
部員不足で好成績を残した学校が21世紀枠での出場校に選ばれるケースは多い。難問と向き合っている現状への評価に加え、1人でも部員が増えるよう、将来を見据えての“支援”の思いもあるのだろう。
「(出場できるかどうかの)結果どうこうではなく、しっかりした準備をして冬を過ごせる。選手たちは大人になるいい機会をいただきました」と春木監督。今のチームには「玉村2世」と呼ばれる1年生左腕、井上颯太がいる。「楽しみな選手です。甲子園で見ていただけたら…」。浮かれず騒がず本当の吉報を待つことに努めながらも、出場がかなった春への楽しみはふくらむ。抑えきれない思いが、監督の声ににじんだ。春の便りが届くのは、来年1月28日だ。【遊軍担当=堀まどか】




