名称が変わる前はシンプルに「伊勢原球場」と呼ばれていた球場は、米ドジャースタジアムと同じように、斜面を切り開いて作られたスタジアムだ。
眺望もいい。三塁側からは丹沢の山々が見える。その山地の一部にトンネルが掘られた。22年に新東名が開通し、時代とともに景色が変わってきている。
変わらぬものもある。センターの電光掲示板だ。得点などはデジタル表示ながら、選手名などは手書き。「もう30年くらいずっとあんな感じでしたね」と関係者は懐かしむ。
昨夏は電光掲示が消えるハプニングもあった。老朽化が進む。この夏限りで、LED表示に変更することが決まっている。
神奈川大会2回戦が行われた9日、センター裏手から階段を上った。厚木北の野球部員たちが作業をしている。担当する高木伸教諭(42=伊勢原高)は「選手名はまとめて書いて準備しておきます。試合中の選手交代とかは臨機応援で、何が起こるか分からないので。みんなで助け合いです」と話す。
濃い緑色をした鉄板に、地塗胡粉という白い塗料で書いていく。緩すぎると文字が乾かずに垂れてしまうので、水分との絶妙な配合も肝になるそうだ。それをつけて、丁寧に書く。
「みんな、特に自分のチームが試合をする時は、先輩のためにと気持ちを込めて書いているかもしれませんね。それにここで自分の仕事に自信をつけたり、自己肯定感を高めた子が、一気に成長してレギュラーになったりっていうこともあるみたいです」
彼らは第2試合の上溝のメンバーである「大谷」も、しっかりと思いを込めて書き上げた。今大会で同球場を使用するのは、雨天順延などがなければ10日、11日と残り2日間のみ。
実は桐蔭学園での現役時代にここで試合をしたこともあるという高木教諭は「寂しい気持ちは…ありますよね」と感慨深く話していた。【金子真仁】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)




