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坂本勇人は男の理想像、プロ野球は「簡単じゃない」

<阪神0-1巨人>◇9日◇甲子園

このコラムで書くのも何だが巨人の坂本勇人には好感を持っている。

9回表巨人1死二、三塁、坂本誠志郎の送球で憤死する坂本勇人。三塁手は大山悠輔(撮影・上田博志)
9回表巨人1死二、三塁、坂本誠志郎の送球で憤死する坂本勇人。三塁手は大山悠輔(撮影・上田博志)

打って守って実力は言うまでもない。見た目もシュッとしていてカッコいい。盟主・巨人にふさわしい品格もある割には何となくやんちゃな雰囲気も併せ持つ。男なら誰でもこういう感じに生まれたかったわな、と思うタイプの選手だ。

甲子園に来れば何となく話し掛ける。このおっさん、誰やねん? という様子はみじんも見せず、笑顔で答えてくれる態度もいい。試合前、少しだけ話した。チームも坂本も順調ですな。このまま行くかな。

「ええ? ボク、きのう(8日)は5タコでしたよ。そんなに甘くないと思いますよ。なかなか簡単じゃないです」

坂本はこの試合、ツキがなかった。前日に続き、安打は3打席でなし。しかも四球で出て三塁走者になっていた9回には飛び出して刺されるミスもあった。9回の守備では高山俊の打球が目の前で二塁べースに当たる不運もあった。こういう様子を見ていると坂本が言う「簡単じゃない」という言葉に妙に納得させられてしまうのだ。

阪神は0-1で巨人に連敗を喫した。このスコア、6月30日の中日戦(ナゴヤドーム)で延長11回にサヨナラ負けしたときに続いて2度目だが9回に限れば今季初だ。レベルの高いブルペン陣を持つ阪神としては連日の競り負けは痛い。

目立ったのは巨人の指揮官・原辰徳の執念ではないか。9回には4番・岡本和真にプロ初の犠打を命じ、その裏にこの回から登板したマシソンを2死走者なしから交代させた。念には念を入れるというか、絶対にここは勝つぞという執念を感じさせた。それに応えた選手たちも首位を走るチームの雰囲気を感じさせた。

「巨人には執念を感じましたね。でも負け惜しみではなく微々たる差だと思うんです。その微差をどう埋めるかなんですけど。とにかく前向きに生きたい」。ヘッドコーチ清水雅治はそう話した。

広島の3連覇監督・緒方孝市は「微々たる差」のことを「紙一重」と言った。勝負師なら感じるそのわずかな差が重い。きょう10日に勝って5割で球宴休みに入るのと、3連敗を食らって借金2でそうなるのとでは数字的にはわずかな差だが印象は天と地の違いだ。「簡単ではない」という言葉をこの1試合で巨人に感じさせなければならない。(敬称略)

記者生活30年超の高原寿夫・編集委員が、今シーズンの矢野タイガースに鋭く迫ります。

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