阪神対ソフトバンク 6回裏阪神2死、二飛に倒れるボーア(撮影・清水貴仁)
阪神対ソフトバンク 6回裏阪神2死、二飛に倒れるボーア(撮影・清水貴仁)

コロナ禍がなくシーズンが予定通り行われていたとしても5日からは阪神-ソフトバンクの3連戦だった。偶然にも日程は重なったが意味合いはまるで違う。糸井嘉男の技あり流し打ち本塁打。柳田悠岐の豪快な一撃。超人の競演とくれば無観客試合がもったいない試合だった。

そんな中、注目していたのはボーアだ。4日までの広島3連戦で3試合連続本塁打。3月の不振がウソのように打ちまくっていた。そこで思い出したのが2月、宜野座キャンプでのボーアとの会話だ。

同じようなことを書くのだが開幕前に打っても本番ではさっぱりという新加入の外国人選手の姿はよく見る。なのでオープン戦はほどよく…という話をした。

「もちろん分かっているよ。大事なのはシーズンだ」。ボーアはそう言って、いたずらっぽくセーフティーバントするふりをしてみせた。そして3月8日、巨人とのオープン戦では本当に打席でバントをする構えを見せたのだった。

その試合は巨人の指揮官・原辰徳が野手を右方向に集めるボーア・シフトを試していた。「そのウラをかいてやるぜ」と言わんばかりの構え。ボール球だったこともあってバントはしなかったのだが構えだけで両軍ベンチを驚かせた。もう3カ月も前のことだ。

そんなクレバーなボーアだけに今回の練習試合でも“ほどよく”打ってほしいと思う。3本塁打したから広島投手陣はカモ…と思ったら(もちろん思ってはいないだろうが)それは正解ではない。この時期、相手投手陣、ベンチは対戦結果より「このコースなら打つ。バットを出してくる」「ここは見えにくそうだ」という点に集中している。

もっと言えば打てば打つほど情報を提供していることにもなる。そういう意味でこの日は楽しみだった。ソフトバンクの先発投手がムーアだったからだ。大リーグで鳴らした大物左腕。ゆったりしたフォームからビシッとくる球は“ホンマもん”だ。

そのムーアに対し、ボーアは2打席凡退。この日は安打もなかった。常に大爆発を期待する虎党にはさみしい結果だが、これもまた練習。打席での雰囲気だけを見れば左腕を苦にしているようには見えなかった。それが各球団のスコアラーにはどう映ったか。いずれにしてもボーアにとって重要なのはコンディションのキープである。(敬称略)

阪神対ソフトバンク 試合前、新型コロナウイルスに立ち向かうすべての人々へ向けてフライデーオベーションを行うボーア(撮影・前田充)
阪神対ソフトバンク 試合前、新型コロナウイルスに立ち向かうすべての人々へ向けてフライデーオベーションを行うボーア(撮影・前田充)