戸郷翔征か。いい投手だ。そう思っていたがどうも背中の名前が気になる。「TOGO」。昨今、何かと話題の「Go To キャンペーン」がチラつく。ステイホームとか言いながら旅行に行けとか。エラいさんたちの言うことは、正直、分からない。

そう言いつつ、遠くは無理だが有馬温泉ぐらい行きたいかな。ボンヤリ考えていると「GOTO」までいた。巨人野手総合コーチの後藤孝志か。現役時代が懐かしい。阪神の敗色濃厚で関係ないことが目に入る。

巨人に連敗。借金は増えたが先発藤浪晋太郎の投球が安定してきたこと、それだけが救いか。その藤浪が懸命に投げているころ、甲子園球場から北西に約18キロ離れた有馬温泉の旅館でも1人の若者が戦っていた。

将棋の最年少タイトルホルダー藤井聡太棋聖が「王位戦」で3連勝。史上最年少での2冠に王手をかけた。

藤井棋聖はまだ18歳。まさにモンスターだ。藤浪もその年齢のときは怪物だった。時が流れるのは速いな…と思っていると2年前のことを思い出した。

18年5月、藤井棋聖(当時は棋聖ではなかったが)は史上最年少15歳9カ月で「七段」に昇段した。そのときに話を聞いたのが6日に今季初先発する高橋遥人である。

阪神期待の若手左腕と藤井棋聖の間に大きな共通点はないと思う。顔が似ていることを除いて。ずっと似ていると思っていた。しかし有名人のだれそれに似ている、というのは結構、微妙な話題である。しかしおめでたい話題なので思い切って聞いてみたのだ。

「友達とかにもよく言われるんですよ。でも、なんていうか、あちらの方が有名ですごいので。似ていると言われるのは光栄です」。高橋は素朴に答えた。さらに「駒の動かし方を知っている程度ですけど。家族と指したり」と自身も将棋をすると教えてくれた。

阪神の将棋好きは何人か知っているが、高橋と同じ背番号29を背負った井川慶の名前も浮かぶ。史上最強の助っ人ランディ・バースは川藤幸三と将棋を指し、日本語を覚えたという話も聞いた。

それにしても巨人に連敗か。スイープに王手をかけられたので現実逃避しそうになるが、とにかく勝たなければ話にならない。ここは高橋で一矢報いてくれ、と思うのだが…。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)