巨人の先発投手・戸郷翔征が早々と降板した。何かあったのか。新人王の有力候補で投げっぷりの良さから、将来、球界を代表する投手の1人になると思っているだけに少し心配だ。

その戸郷を巨人は18年のドラフト6位で獲得している。下位指名ではあるがドラフト当時、もちろん各球団もリストアップしていた。阪神も例外ではない。だが獲得へ向けて特に強い意欲はなかったという。球団関係者にその理由を聞いたとき少しびっくりしたことを記憶している。

「戸郷はうしろ(テークバック)が大きいでしょう? ちょっと似ているじゃないですか。またコントロールで悩むようなことになったら困るよな、という意見があったんですよ」

「ちょっと似ている」「また」とは何のことか。そう聞くと出てきた名前は「藤浪晋太郎」だった。確かに細身の長身で右腕を大きくうしろに回すフォームなど、藤浪と戸郷はどことなく似ている。

大阪桐蔭で春夏連覇を達成し、鳴り物入りのドラフト1位で入団した藤浪。新人年から3シーズンは好調だった。だが4年目から調子を落とし、その課題が制球力であると誰の目にもハッキリしてきた。ちょうどその頃のドラフトだったので、そんな意見が出たのかもしれない。

戸郷は新人王を取るような選手に育っているので、その見立ては現時点では外れているとしか言いようがない。それでもプロ、スカウトの目というのはそういうところまで気にするのか、と感じた。大げさに言えば藤浪の不調がドラフト戦略にまで影響を及ぼしたということなのか-と思う。

裏を返せば藤浪の存在はそれだけ大きい。現在はブルペンに回っているが、この日も登場するだけで甲子園のムードを変えたのは事実だろう。秋山拓巳を早めにあきらめて6回からの登板だった。長いイニングを期待しているのかと思ったが2イニング目の7回につかまり、4連打を浴びて3失点。KOされる形の降板で結果は出なかった。

最近はいわゆるセットアッパー的な起用だっただけに気の毒な気もしたが仕方がない。この日は無四球で終わったが四球を出さなければいいということでも、当然、ない。打線がもっと打ってやれば-とも思うが、これはお互いさまだ。藤浪も、首脳陣を含めた阪神も、自分で壁を破っていくしかない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対巨人 6回表、秋山に代わって藤浪がリリーフカーでマウンドに向かう(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 6回表、秋山に代わって藤浪がリリーフカーでマウンドに向かう(撮影・上山淳一)