世論を二分…と言えば大げさかもしれないが虎党、あるいは野球ファンの意見が分かれる試合だろう。先発・村上頌樹の交代劇。説明するまでもないが念のため振り返る。
プロ初勝利を狙う3年目の村上の今季初先発。どんな投球かと思えばスルスル巨人打線を抑え続け、7回まで1人の打者も出さない。このまま行けばプロ初勝利が完全試合。途方もない偉業だ。完全を達成した阪神投手は過去にいない。
そう思った8回1死、指揮官・岡田彰布は村上の打順で代打・原口文仁を送った。どよめく東京ドーム。ここで交代か。いつも「独断と偏見」と言っているので自分の意見も書く。
続投させてほしかった。1安打を喫してからの交代でもよかったではないのか。今後勝ち星がついたとしてもこんなチャンスはもうないかもしれない。たとえ同点本塁打されたとして、そこで交代でいいではないか。そう思った。
とはいえ、あくまで“外野”の意見だ。ここは村上に近いところの考えを聞きたい。そこで村上の恩師、智弁学園野球部監督・小坂将商に連絡してみた。小坂は何と言ったか。
「交代は正しい選択だと思います。1-0だったしチームが勝つことが優先ですから。3-0やったらいかせてほしかったですけど。徐々につかまりつつあったし、続投していても打たれてたと思います」
だが先のことは誰にも見えない。岡田ですら勝利監督インタビューで「完全試合いけたかという思いは頭の片隅に残ってた」と明かした。虎番キャップたちには「3-0ならな…」とも言ったようだ。舞台は違えど勝負に徹するもの同士、通じるものがあるのか。
そう思えば、やはり、なかなか得点できない打線が招いた状況かもしれない。それでも投手の大記録が出るのは接戦が多いとも言うし、野球はなんとも不思議なゲームである。
この試合、一時は同点とするソロを放った巨人・岡本和真も小坂の教え子。「あれは『打つなよ』と思いましたわ」と笑ったが最後にこんな話もした。「村上は左打者への外角ストレートが少し高く浮いていたのが危なかったと思う。そこを投手コーチの安藤(優也)にしっかり教えてほしいです」。小坂と安藤は法大の同期。いずれにせよ、ここで言えるのは村上にはさらなる奮闘を期待するということだけだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




