前日4日の勝利で呪縛が解けたように、横浜スタジアムで伸び伸びと阪神が勝った。1回、大山悠輔の先制3ランが出ると、その舞台をつくった近本光司は4安打の固め打ちだ。先発・青柳晃洋は1回から3イニング連続で先頭打者を出しながら3度とも併殺に打ち取る“怪投”。終わってみれば6回3失点で4勝目をマークしたのである。

そんな快勝の中でも「これは勝てる」と思わせたのは3回の2点ではないか。2死二塁で8番木浪聖也の打席。ここでDeNAベンチは木浪を敬遠した。3点を先制した1回、なおも2死一、二塁の好機で中飛に倒れていた木浪を歩かせ、青柳と勝負する念入りな作戦に出た。

ところが青柳はここでDeNA先発の大貫晋一から右前適時打を放つ。さらに近本も右翼への二塁打で続き、この回2得点。序盤で5点を奪い、一気に阪神のペースとなったのである。

これで思い出したのは5月12日の同じカード、DeNA6回戦(甲子園)だ。この試合、1点を追う阪神は2回、2死二塁の同点機を作る。ここで打席は8番・木浪に回った。DeNAの先発は左腕・今永昇太。だがベンチは左打者の木浪を申告敬遠。9番青柳との勝負を選んだ。

しかし青柳はここで左翼線を抜く2点適時二塁打を放って逆転。近本、中野拓夢も続き、一気に4得点をあげて阪神は勝ったのだ。そこで笑顔を浮かべたのは指揮官・岡田彰布である。

「びっくりしたわ~。あそこで木浪を歩かせるか? まあ、それだけ、木浪の状態がエエと思われてんねんやろけど…」。好投手・今永を擁しながら木浪との対戦を避け、結果として失敗した作戦を客観的に話した。そしてこの日、同じような光景が広がったのだ。

ここで書いておきたいことがある。木浪はこれで今季7個目の敬遠(故意四球)。実はこれ、12球団トップだ。「17」を記録する犠打部門でもリーグ・トップの木浪。歩かされるわバントするわ、と不思議な状況になっている。

「ラッキーですよ」。敬遠が多いことについて木浪に尋ねたとき、そう笑っていた。四球、犠打は打率は下がらない。1番打者に勝負強い近本がおり、下位打線でプレッシャーをかけられる阪神打線のスタイルがなせるワザだろう。それでも攻守に踏ん張る木浪自身が呼び込んだ現象であるのも間違いない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

DeNA対阪神 3回表阪神2死一、三塁、近本の右適時二塁打で生還した木浪(中央)はナインとハイタッチ(撮影・浅見桂子)
DeNA対阪神 3回表阪神2死一、三塁、近本の右適時二塁打で生還した木浪(中央)はナインとハイタッチ(撮影・浅見桂子)