凡庸な表現だが、まさに手に汗握る試合だった。さすがに首位・広島である。じわじわ攻めてくる雰囲気に怖さを感じた。序盤からリードしながら最後まで勝てるかどうか、虎党は不安だった試合だろう。それでも逃げ切った。最低でも勝ち越し、できれば3連勝を狙いたい3連戦の初戦を、阪神は、まず取った。

殊勲者は言うまでもない先発・高橋遥人、さらに佐藤輝明、それにブルペン陣と多いが、ここで注目したいのは2つのポイントだ。「2点目の取り方」と「流れを変える起爆剤」だ。

1回、2死から森下翔太、佐藤輝が珍しい連続三塁打で1点を先制した。いい出だしだったが、あとが続かない。高橋の状態がいいのが救いだったが、これは逆転される流れかも…とイヤな考えが頭をよぎる。

そんな4回だった。この回先頭の小野寺暖がこれも三塁打で出た。元気よくヘッドスライディング。ベースを通り過ぎるなよ…と余計な心配をする。1死三塁になって8番・木浪聖也は外寄りの真っすぐを引っ張り、二ゴロ。これで三走・小野寺が生還に成功した。

接戦では、こういう得点が大きい。サンテレビで解説していた広島3連覇監督の緒方孝市(日刊スポーツ評論家)は「何としても1点がほしいところで方向性を持った、考えた打球」と評価した。

その緒方の下、広島が16年から3連覇していた頃、こだわったのもその点だ。当時、打撃コーチだった石井琢朗(現DeNAコーチ)とともに「安打なしでも得点する」とナインに強調していた。それが適時打同様、あるいはそれ以上に相手にダメージを与えるからだ。だからこそ「今日は最低限、できて良かった」と話した木浪の打撃は大きかったのである。

そして、もう1つ。それで小野寺をかえしたことに意味があると思う。前日も書いたが、前川右京が故障気味でメンバーが足りない。そこで代わりに出てくる選手が逆に起爆剤になれば、逆転浮上の可能性も出てくるかもしれない。

その点でこの日、6番左翼でスタメンに抜てきされた小野寺が働くかどうかは注目点だった。それが先頭で三塁打だ。これは絶対に得点に結びつけなければならなかった。広島もそれを理解し、内野陣も前進守備を敷いていただけに意味ある2点目となったのである。しぶとい攻撃。これを続けたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

広島対阪神 4回表阪神無死、小野寺は中三塁打を放つ(撮影・岩下翔太)
広島対阪神 4回表阪神無死、小野寺は中三塁打を放つ(撮影・岩下翔太)
広島対阪神 4回表阪神無死、小野寺は中三塁打を放つ(撮影・岩下翔太)
広島対阪神 4回表阪神無死、小野寺は中三塁打を放つ(撮影・岩下翔太)
広島対阪神 4回表阪神無死、小野寺は中三塁打を放つ(撮影・岩下翔太)
広島対阪神 4回表阪神無死、小野寺は中三塁打を放つ(撮影・岩下翔太)
広島対阪神 4回表阪神1死三塁、小野寺は木浪の二ゴロの間に生還し、ナインとタッチを交わす(撮影・岩下翔太)
広島対阪神 4回表阪神1死三塁、小野寺は木浪の二ゴロの間に生還し、ナインとタッチを交わす(撮影・岩下翔太)
広島対阪神 7回裏広島無死満塁、投手の交代に向かう岡田監督(撮影・岩下翔太)
広島対阪神 7回裏広島無死満塁、投手の交代に向かう岡田監督(撮影・岩下翔太)