あと「10勝」だ。それができれば阪神は2年連続日本一に到達できる。12日に始まるクライマックスシリーズ、ファーストシリーズでDeNAにまず2勝。そしてファイナルで巨人に4勝、そこから日本シリーズでパ・リーグ代表に4勝だ。2+4+4=10である。
日本一に輝いた昨年、阪神はシーズンだけで85勝53敗5分けという成績を収めた。今季は74勝63敗6分けなので、ポストシーズンで10勝達成することができたとしても、その勝ち数には届かない。いかに昨年が強かったか分かる数字でもあるが、とにかく最大で残り16試合を戦う中での10勝を目指すゲームが始まる。
CSを前に「おやっ?」と思ったのは指揮官・岡田彰布が風邪をひいたと阪神球団が9日に明らかにしたときだ。思わず「諸行無常」という言葉を思い浮かべてしまった。
こちらの知る限り、野球選手、それも一流だった人は一般人と比べて信じられないほど“丈夫”だ。他でもない岡田も「風邪1つ、引いたことないわ」というのが自慢だった。日本一に輝いた昨年のオーナー報告後に我々に対して「そら節制しとるよ。風邪なんか引かんよ」などと胸を張っていたものだ。
しかし今回、ここにきての体調不良である。ポストシーズンを残すとはいえ、今年限りでユニホームを脱ぐことが決まったばかり。勝負の場は続くけれど、やはり、どこかでホッとしたというか、気持ちの張りが切れた部分があったのかもしれない。この日、CS前の共同会見に出席した岡田は“鼻声”で風邪引きの様子が伝わってきた。
2年契約満了での退任については疑問視する声もある。実際、こちらも優勝、2位で代わるのか…とも思うが、どんな成績を収めていても、いつかは代わるのが監督の宿命なのは事実。岡田も年齢を考えれば、これも無理のないところということかもしれない。
10勝が目標だが、当然、まず1勝だ。「初戦ですね。初戦、エースが投げるわけですけど、ここで全力でいかないと勝機はない」。CSについて聞かれた岡田は12日の先発を才木浩人に託すことを明かした上で、そう強調した。長くて16試合、最短のケースなら2試合で終わる岡田阪神。「諸行無常」は不変だが、10月というのに、まだ半そでで過ごせる気候でもあり、1試合でも長く熱い戦いを見せてほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




