阪神が日本一になった23年、新人王とMVPのW受賞をはたした村上頌樹はナイスガイだ。この日、あらためて、そう思った。「あれからかぶってないの?」と聞くと「かぶってないです」と即答したのだ。
一体、何の話かと読者は思われるだろうので、まず1月に行われた12球団監督会議で指揮官・藤川球児と日本ハム監督・新庄剛志が意気投合した話題について説明したい。
それは若者に人気のキャップなどメジャーリーグ(MLB)のアパレル着用について、だ。同会議の席で「日本の選手がメジャーリーグの帽子をかぶるのはあまり良くない」と話題になり、球児や新庄は「もっと自分たちの球団に誇りを持ってほしい」という趣旨の話をしたのだ。
これを知り、個人的に「いいな」と思った。同じような見方を以前からしているからだ。大リーグも日本も同じプロ。WBCでは日本も強い。ファッションなのは分かるが、先輩たちが守り育ててきたNPBに自信を持った方がいいと感じているからだ。
思い出すのは阪神日本一の23年オフ。球団行事で選手、関係者が参加するゴルフ大会があった。そこに参加した村上は「N・Y」(ニューヨーク・ヤンキース)のキャップ姿。それを見て思わず言ってしまった。
「ヤンキースに移籍?」と。「とんでもない」と答えた村上に自分の考えを伝えてみた。「何を言うとるん?」と感じたかもしれないが、そのとき村上は同時にこう言ったのである。「そうですね。そういう気持ちでやらなあかんのかもしれませんね。もう、かぶらんときます」-。
そんなことがあったので宜野座で汗を流す村上にこの日、監督会議での話題を含め、聞いてみた。「言ってましたねえ。はい、あれからかぶってないですよ」。それが冒頭の言葉だ。
球児は、こちらが以前に村上と交わした会話は知らないと思うので説明してから聞いてみた。「そうなんですか。ハッとしたんじゃないですか。いいと思いますよ」。そう言ってニヤリとしたのである。
負け越しとなった昨年の反省を受け、現在は力の抜けたスムーズなフォームを意識して日々、練習しているという村上。「バランスですね」という口にするその内面には、しっかりとしたバランス意識を持っていると感じる。今季も期待したい右腕だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




