これは厳しい。大阪弁で言わせてもらえば「ドツボにはまっとる」という感じである。それを強く感じた場面は2点を追う展開になっていた8回の攻撃だ。途中出場の坂本誠志郎が左前打で出て、無死一塁。ここで打順は近本光司に回る。

ちょっと見せ場、できるかな。そう思った瞬間だ。近本の放った強い打球は遊撃正面を突く。ロッテ内野陣は「6-4-3」と送り、シンプルに併殺を決めたのである。そして、これは近本にとって今季初の併殺打だった。

「ボクですか?」。敗戦後、虎番記者であふれる通路を歩く近本に近寄ると驚いたようにこちらを見る。そう。あなたです。3回に二塁打こそ放っていたが敗戦もあり、普段はぐいぐい行く記者たちも言葉をかけにくいもの。だが聞きたい。今季初併殺打の感想だ。

「ついにやってしまいましたか。今年初ですよね? 去年は? ありましたよね。う~ん。もう少しだけ、こっち(三塁側)によってくれたらね。最近、あの辺の打球が多かったから」

チームでももっともプロらしい選手の1人、近本は冷静に振り返った。そして、こう続けたのである。「でもね。ゲッツーがこわくて、打ちにいけませんからね」-。

甲子園に戻って流れを変えたいチーム、虎党の願いもむなしく、7連敗を喫した。内容も悪い。15日までの6連敗は5連敗までが逆転負けだった。そして、この日もまた逆転負け。3回に中野拓夢の適時打で先制に成功し、森下翔太の死球で、なお好機だ。しかし佐藤輝明が空振り三振。佐藤輝はこの日、4三振でこれも今季初。ドツボにはまっているのだ。

「それでも」とあえて言えばやろうとしていることはやっていると思う。試合前、少しだけ指揮官・藤川球児と話した。「来週前半、試合がないんでね。ここは先発投手に頑張ってもらうところですね」。ブルペン陣の苦闘が続く状況で、ここは先発に少しでも長く…という意思があった。

それもあっての才木浩人続投だったと思うし、負けてしまったので評価はできないがプランはあるのだ。若い木下里都を試したのも、不調だった桐敷拓馬を、ある意味、楽な場面で投げさせたのも次につながることかもしれない。近本流に言えば「負けるのがこわくて試合はできない」のだ。まずはあと5試合、強気でいけ。(敬称略)

阪神対ロッテ 3回裏阪神2死、近本は左二塁打を放ち二塁に向かう(撮影・上山淳一)
阪神対ロッテ 3回裏阪神2死、近本は左二塁打を放ち二塁に向かう(撮影・上山淳一)
阪神対ロッテ 3回裏阪神2死二塁、二走近本(右)は中野の中前適時打で生還しナインの祝福を受ける(撮影・上山淳一)
阪神対ロッテ 3回裏阪神2死二塁、二走近本(右)は中野の中前適時打で生還しナインの祝福を受ける(撮影・上山淳一)