後半戦開始である。阪神は残りリーグ最少の53試合だ。屋外球場の甲子園を本拠にしながら、順調な試合消化で首位快走。1年目の指揮官・藤川球児は天候、自然にも歓迎されているということだろうか。

この日の練習が終わり、虎番記者キャップたちに囲まれる中で球児は一人語りのようにこんなことを言った。「若い選手はまだ時間がかかるから。種をまいて今シーズン中に回収できるなんて最初から難しいし」。これまでも口にしていることだが彼がもっとも気を配っている点だと思う。

大局観というか、先を見ているというか、あまり聞いたことのない考え方を示したのは開幕前だった。「この時点でベストではなく、終わったときにベストになっていればいい」。それこそロケットスタートのようなものを目指すことが多い中であえて落ち着いたプランを示したのである。

言葉通り、最初から若い力を積極的に使った。そこに加え、これまで埋もれていた印象の選手も起用してきたのである。野手で言えば高寺望夢、豊田寛、あるいは中川勇斗というところか。登録、抹消を繰り返し、いまに至っている。

そこで出た最初の発言だ。そんな選手たちがこのシーズンだけで一人前になると楽観はしていない。このオフから来春にかけ、しっかり戦力になればいいというプランだろう。逆に言えば、これからの勝負どころ、経験ある選手が重要になる…ということか。

そうは言っても、そういう存在はそれほど多くないのだ。具体的に言えば原口文仁、さらに木浪聖也か。原口はすでに戻っている。木浪も遊撃の位置は急成長・小幡竜平に奪われた格好だが潜在能力的には十分、戦力になるはずだし、終盤、プレッシャーのかかる場面で、例えば代打でも出番はあるかもしれない。投手なら西勇輝か。

勝負どころはベテランの力が必要になるのだろうか、と先日、球児に聞いた。「そうとは言い切れません。そのときの力ですから。“名前”ではない」。そういう答えだった。

実際、原口は今月13日に昇格してからまだ無安打と結果が出ていないので後半戦開始の26日を前にどうなるか。木浪や西勇にしても先は分からない。それでも可能性大の優勝を果たした後の短期決戦を見据えても重要になる部分だろう。ここからの“真剣勝負”に注目したい。(敬称略)