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いま、会いにゆきます

地震あった日だからこそ鷹大竹の強い気持ちが白星に

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不思議な力に導かれているのかもしれない。

ロッテ対ソフトバンク 2勝目を挙げたソフトバンク大竹は笑顔で声援に応える(撮影・山崎安昭)
ロッテ対ソフトバンク 2勝目を挙げたソフトバンク大竹は笑顔で声援に応える(撮影・山崎安昭)

ソフトバンクのルーキー大竹耕太郎(23)が6日、千葉ロッテ戦で今季2勝目を挙げた。

プロ初登板初勝利を果たした8月1日の西武戦から約1カ月ぶりの勝利。これまで3試合は好投が報われなかったがこの日は違った。7回、100球、被安打7、5奪三振、1四死球、1失点。千葉・ZOZOマリンは台風の影響で風速が10mもあったが、持ち前の粘りの投球と制球力で乗り切った。お立ち台では「風をうまく使いながら、チェンジアップをブレーキ効かせて投げられたのが良かった」とほほ笑んだ。「僕は他の選手みたいに速い球が今は、投げられるわけじゃない。“技”も使いながら投げるのが身上なので」。柔よく剛を制す。モットーを貫いた。

育成4位で入団した今季。ファームで8勝0敗1S(防御率:1.84)を挙げ、7月29日に支配下選手登録された大竹だが、ファームでの初勝利は、思わぬ形で転がりこんだ。

忘れもしない4月14日のオリックス戦(奈良・佐藤スタジアム)。この日は先発投手らが打ちこまれて9失点。5対9、4点ビハインドの8回、3番手として大竹がマウンドに上がった。

「4点差で敗戦処理みたいな感じもあったんですけど、とにかく必死に投げていたら9回表に味方が6点入れてくれて逆転。勝利投手に。ビックリしました」。2回1安打無失点。捕手高谷裕亮(36)の好リードにも助けられ、ウイニングボールを手にした。


■自分の悩みなんてちっぽけだ

4月14日という日にピンとくる人は多いだろう。2016年、2年前のこの日、大竹の故郷である熊本が大地震に襲われた日だった。関西遠征中の大竹の目にも、震災をふり返るニュースが多く入り、特別な日であることを再確認していた。当然、心には期するものがあった。

「先発だったわけではないので、投げるかどうかもわからなかったんですが、たまたま機会が回ってきて、勝利投手になった。どの勝利もうれしいですが、こういう日に勝てるということが、特別な思いがしました」。

熊本地震のとき、大竹は早大3年生だった。当時、投球の調子が悪く、思い通りにいかないことが多く気持ちが下がっていた。そのときに起こった故郷の大災害。リーグ戦があったため駆けつけることはできなかったが、テレビ報道で変わり果てた地元の様子を見てある思いが沸き起こった。

「自分の悩みなんてちっぽけだな、と。避難場所で生活している人が、逃げずに前向きに生きている姿を見たら、自分も負けてはいけないなと思いました」

在学中、東日本大震災の被災地・気仙沼にボランティアに行ったこともある大竹だったが、この時感じた衝撃は今までにない大きさだった。

「プロ野球選手になろう。悲しんでいる人たちに勇気を与えられる職業は、プロ野球選手になることだと思う」。育成でもいいからプロ野球選手になろうと思ったきっかけも、このときの出来事が強く影響していると言う。

9月6日、北海道厚真町で大地震が起こった。熊本と同じ震度7。朝から心が痛むニュースが流れている。偶然かもしれないが「人を勇気づけたい」という大竹の強い気持ちがこの日の2勝目につながったのかもしれない。これまで好投が報われなかったが、この日は運が味方した。

3軍から自分の力で、はい上がってきた大竹。これからも、自分にできること、自分にしかできないことに実直な気持ちで向き合い、元気をなくしている人たちへ、心のメッセージを贈り続ける。

【樫本ゆき】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「いま、会いにゆきます」)



ロッテ対ソフトバンク 6回裏ロッテ1死一塁、大竹は今宮が清田の遊飛をダイビングキャッチすると笑顔を見せる(撮影・山崎安昭)
ロッテ対ソフトバンク 6回裏ロッテ1死一塁、大竹は今宮が清田の遊飛をダイビングキャッチすると笑顔を見せる(撮影・山崎安昭)

ライター&エディター。千葉県・木更津市生まれ。94年日刊スポーツ出版社入社。「輝け甲子園の星」「プロ野球ai」などの編集に携わり、99年フリーに。共著に「終わらない夏」「聖地への疾走」「王者の魂」(日刊スポーツ出版社)ほか。関東、東北、九州に移り住み取材活動を続ける。福岡市在住。

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