清宮を守れ。日本高野連は7月31日、全国高校野球選手権大会(6日開幕、甲子園)に出場するスーパー1年生、清宮幸太郎内野手擁する早実(西東京)の甲子園滞在中の宿舎を、警備上の都合により変更すると発表した。甲子園まで徒歩約5分の兵庫・西宮市内のホテルから、バス移動となる尼崎市内の宿舎に変更。開幕前の宿舎変更は同連盟初で、ラグビー・ヤマハ発動機の清宮克幸監督(48)を父に持つ注目スラッガーのために、関東第一(東東京)の宿舎と入れ替えた。早実は明日2日に大阪入り。翌3日に組み合わせ抽選会が行われる。

 早実・清宮が、憧れの甲子園から“遠ざけ”られた。大会期間中の宿舎が、甲子園から徒歩約5分の「甲子園ホテル夕立荘」から、バスで約20分かかる兵庫・尼崎市の「都ホテルニューアルカイック」に変更になった。

 スーパー1年生清宮擁する早実が甲子園出場を決めてから、日本高野連は、兵庫・西宮警察署、甲子園球場、主催の朝日新聞社と対応を協議してきた。同連盟・竹中雅彦事務局長は「清宮君がいますので、移動が徒歩になりますと、それを目当てにたくさんの方が集まって、雑踏事故につながりかねない」と説明。住宅地にあるホテルのため、試合日以外でもファンが殺到すれば、近隣住民にも迷惑がかかってしまう。

 本来は関東第一が宿泊する予定だった「都ホテルニューアルカイック」なら、移動はバス。甲子園到着後の動線は「検討中です」(竹中事務局長)と言うが、一般ファンとは触れ合わずに球場入りすることが可能になる。まさに清宮フィーバーに備えた対応だ。

 74年に東京代表が東・西東京の2校制になって以降、両代表校は毎年2つの宿舎を順番に利用してきた。今年は西東京代表が「甲子園ホテル夕立荘」の順番だったが、初めて両代表校の宿舎を入れ替えた。

 東京都高野連・武井克時専務理事は「清宮くんのフィーバーを考えてのこと。甲子園の周辺は人が多いので、警備や安全面のことを考えて変更させてもらいました」と、両校の了承を得て、急きょ変更。日本高野連・竹中事務局長は「今まで大会中に人気が出た選手などのために、動線を変えたことはありましたが、宿舎自体を変えたことは、初めてです」と、日本高野連にとっても初の対応になった。

 それほど清宮フィーバーは過熱している。西東京大会では本塁打こそ出なかったが、6試合連続安打をマーク。20打数10安打で、打率5割、10打点の活躍で、決勝戦には2万8000人の大観衆がつめかけた。この日、清宮はチームメートとともに東京都知事を表敬訪問。コメントを発することはなかったが、用意されたオレンジジュースを、おいしそうに飲み干した。注目の1年生スラッガーは、2日の大阪入りを前に早くも聖地をにぎわせている。

<主な甲子園フィーバー>

 ◆原辰徳(東海大相模) 2年夏の75年は甲子園へ向かう小田原駅に3000人の女学生が殺到。東海大相模の試合警備では甲子園署から特別に30人が増員されたが、球場玄関からバスに乗るまで50メートルを進むのに10分かかった。大会期間中の練習では野球部長、前部長ら関係者総動員で「ファウルが当たっては大変」とファンのガードに走り回った。

 ◆荒木大輔(早実) 1年夏の80年から宿舎に女学生の包囲網ができ「アリのはい出る隙間もない」と形容された。ナインは外出禁止。荒木はテレビの音量を上げ無心を心がけた。80年はダフ屋31人が逮捕され、600円の席が最高25倍の1万5000円で売られた。大会期間中の警官の動員数は1日平均180人で阪神-巨人戦の100人より多かった。