初めて甲子園の決勝を球場で見ることができて、試合前からずっと泣きそうでした。満員の球場で、両チームの選手がアルプススタンドに行ってあいさつをするんですけど、勝っても負けてもこれが甲子園最後の試合なんだって思ったら、もうウルってきちゃいました。3874校の高校があって、決勝で戦えるのはたったの2校。重々しいというか、ピリッとした緊張感が両チームに漂っていて、本当に特別な場所なんだなって思いました。

 試合は最後、キャッチャーがボールをこぼしたスキに、北海の二塁走者の井上選手が三塁を狙って、タッチアウトになりました。整列に向かう時にエースの大西投手が、泣いている2年生の井上選手の肩をポンってたたくのを見て、またウルッときて…。井上選手の走塁は、飛び出てしまったのではなくて、思い切り走った積極的なプレーでした。さすがエースでキャプテンの大西投手。人望が厚いんだと思います。準決勝まで1人で投げて、ここまで来たことが立派です。本当にキラキラして見えました。

 作新学院の今井投手と大西投手は、最後のあいさつの時にニコニコ話していました。高校野球ってさわやかで、いいですね。球場もすごく暑くて、本当に夏っていう感じがしました。

 試合中、負けている北海の攻撃になると、甲子園の球場中から何度も拍手が起きました。温かい、野球好きの方が集まる場所なんですね。閉会式の泥だらけのユニホーム姿も大好きです。高校野球って、選手の皆さんが一生懸命なので、私も頑張らなきゃって気持ちになります。やっぱり野球っていいなって、再確認しました。この夏、応援団長ができて、良かったです。もう、今から来年が待ち遠しいです! (日刊スポーツ高校野球応援団長・稲村亜美)(おわり)