開幕戦で札幌光星が帯広大谷に10-5で逆転勝ちし、春は97年以来22年ぶりの全道1勝を挙げた。同点に追いついた後の7回2死三塁、主将の近藤尚矢二塁手(3年)が右前適時打を放ち勝ち越した。

左投手が苦手で、地区予選では主に1、2番を打つチャンスメーカーが、この日は下位の8番打者でスタメン出場。勝負どころで帯広大谷の180センチ左腕、木島広輔(2年)を攻略し、チームを勝利に導いた。

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主将が意地の決勝打を放った。2点を返し同点に追いついた直後の7回2死三塁、近藤尚は帯広大谷の左腕エース木島のファーストストライクをしっかりとらえ、右前に運んだ。「左相手だと打てないと、思われたくなかった」。勝ち越して流れを呼び込んだ。地区代表決定戦ではセンバツ出場の札幌大谷に勝利。「ふがいない試合をしたら、これで札幌大谷に勝ったのかと思われてしまう。開幕戦でしっかり勝てて良かった」と笑顔で振り返った。

左投手を苦手にしていた。エースが左腕の札幌清田との地区初戦はベンチスタート。2戦目以降はスタメンに戻り、札幌大谷戦は1番打者として2安打放つも、左腕の阿部剣友(2年)と対戦した5打席目は、空振り三振に倒れた。合坂真吾監督(42)は「今日も左なので入れるか迷ったが、主将なのでチームに必要と考えた」。精神的支柱をスタメンに残したことが、勝負どころで生きた。

状況や調子に応じ役目を変える“日替わり打線”が、課題克服の一助となった。合坂監督は地区から全道初戦まで計4試合、すべて違う打順を組んできた。昨秋は1、4番など軸になる打順は決めていたが「(今春は)誰が4番とか役割を固めないで、試合ごとに役割を考えて、状況に対応できるようになってもらいたい」。近藤尚は地区初戦が代打、2戦目2番、3戦目1番で、この日の全道初戦が8番。「上位につなごうと必死だった」と、献身的姿勢が結果につながった。

昨秋全道は初戦で十勝地区代表の白樺学園に、延長10回サヨナラ負けを喫した。「チームは違うが、白樺に勝ってきた相手。また十勝の代表に負けたくなかった」。今春は地区で札幌大谷を破り、今度は令和元年道大会1勝一番乗り。勢いに乗る札幌光星が、10度目の春全道で、初の頂点を狙う。【永野高輔】