<高校野球神奈川大会:三浦学苑9ー4平塚学園>◇18日◇3回戦◇サーティーフォー相模原球場

魂のこもった外角低めのストレートだった。DeNA三浦大輔投手コーチの長男、平塚学園(神奈川)三浦澪央斗投手(3年)が高校最後の投球を終えた。

2-9の9回、2死二塁から4番手で登板。相手4番に対し、フルカウントからの6球目に「一番練習してきた」という外角低め直球で見逃し三振を奪うと、雄たけびを上げながらガッツポーズ。逆転を信じ、最後まで声援を送り続けたが反撃も及ばず。こらえていた涙がこぼれた。「ずっと苦しいこと、つらいことばかりだったけど、乗り越えて今日を迎えられた。いい野球生活でした」。

幼少期から、常に偉大な父と比較される宿命を背負ってきた。「ずっと(プレッシャーは)あったけど、気にしないようにと思ってきました。それを押しのけられるくらいにならなきゃいけなかった」と再び目頭を押さえた。最後の夏は、父の前での登板こそかなわなかったが、同じ「18」を背負い、父をほうふつとさせるアウトローいっぱいの制球。「一番よかったんじゃないですか」。大学でも野球を続けるという三浦。最後は少しの笑顔を取り戻し、バスへ乗り込んだ。【鈴木正章】