父の「勝ち運」は生かせなかった。昨年、春夏の甲子園に出場した慶応の善波力主将(3年)が4回戦で姿を消した。

父は6月の大学野球日本選手権を制した明大の善波達也監督(56)。息子は「勝ち運をもらえたらいいですね」と大会に臨んだが、東海大相模の前に力負け。「相手が1枚も2枚も上でした。何もできなかった」と潔く負けを認めた。

部員102人をまとめ上げた統率力は父譲りだが、苦労もあった。昨年こそ春、夏と聖地を踏んだが、新チームとなった秋は横浜にサヨナラ負け。勢いでいけるほど甘くないと痛感した。冬から春は「個の力」を意識。個々の実力はついたが「自分が自分がと、過信につながった」と振り返る。

チームとして勝つために何ができるかを考えた。結論は「先のことを考えず、目の前に起きていること、今できることをやる」。ベンチ外の3年生ら多くのサポートを得ながら、地道にチームを作ってきた。

今後については「大学で野球を続けます」とキッパリ。慶大へ進学する予定。子供のころから憧れた東京6大学リーグで、今度は父のライバルとなる決意だ。【鈴木正章】