第101回全国高校野球選手権大会(甲子園)は、8月6日に開幕する。東北6県の代表も決まり、戦後全国最多13年連続の聖光学院(福島)や、45年ぶり復活出場の秋田中央などが出場する。

今年の各県大会を振り返る特集第2弾は、担当記者が大舞台での活躍を期待する「推しメン」を紹介。プレーだけでなく、独自な視点で注目選手に迫った。同1日から甲子園練習がスタート。3日には組み合わせ抽選会が大阪市内で行われ、対戦相手が決定する。

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<聖光学院(福島)須藤翔投手(3年)>

大一番で底力を発揮した。決勝では要所で併殺に仕留めるなど96球、真骨頂の打たせてとる投球で2戦連続完封し、13連覇を引き寄せた。

昨夏は2年生投手で唯一甲子園メンバー入り。最終学年では、当然のように球速アップを目指すも、うまくいかなかった。「スピードはもういいやと開き直ってから、よくなった」。しかし、5月の花咲徳栄(埼玉)との練習試合で背中の筋肉を肉離れ。強豪相手に、無意識のうちに力が入ったのかもしれない。「壊れたら意味がない。持ち味を磨かなきゃ」と改めて制球を意識してきた。最速134キロながらスライダー、カーブ、チェンジアップを投げ分け、球速が全てでないことを証明してみせた。

学校と球場がある桑折町出。醸芳中時代、ナイターで遅くまで練習する姿を見て、「ここまで野球に入り込めるところはない」と入学した。斎藤智也監督(56)は、「力のなさを受け入れてから伸びた。見栄えはしないけど今大会で真のエースになったね」。超地元っ子は、名将が認めるまでに成長した。【野上伸悟】