まさかの5位でW杯を終えた高校日本代表。世界一に向けた戦いで、足りなかったものは何か。

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初戦のスペイン戦からバタついた。8回に追いつき、さらに逆転。好投の前を続投させるか、継投か。ベンチとブルペンをつなぐ電話はない。仲井ヘッドコーチが急いで2往復。息を切らせて「次から行くぞ」と飯塚に伝達した。飯塚はあわてて作り、9回のマウンドへ。「バタバタや…」とヘッドは苦笑いした。

兼任野手も含めた継投が基本。大会を通してブルペンは落ち着かず、戸惑う投手もいた。「総力戦」の方針は選手に多大な負荷を与えた。佐々木の故障もあり、西が先発、中継ぎと奮闘し窮地を救うなど各投手がギリギリまで力を出した。

永田監督は「投手はよく頑張ってくれた」と力を込めた。20人中、投手が9人。石川、遠藤を入れれば実に11人。決勝にいけば10日で9試合の日程。8日で6試合だった昨年のアジア選手権より3人多い。昨秋も経験している永田監督は強く投手増員を要望した。

投手が難しい状況で踏ん張っただけに野手が応えたかった。永田監督と日本高野連の竹中事務局長は敗退理由に「守備」を挙げた。ただ、今回はむしろ守備重視の編成だった。

熊田は守備を買われて選出。序盤から遊撃レギュラーを務めたが、雨にぬれた人工芝で、悪送球や捕球ミスが出た。プロも評価する送球能力を持つ石川は、韓国戦で痛恨の同点失策(悪送球)を犯した。「何も普段と変わりなかったんですが」と振り返ったが、石川に限らず送球時に腕が縮こまる内野手が多かった。途中から熊田に代わった武岡も本来の送球をできなかった。

守備陣容に自信を持っていた永田監督だが、合宿当初から内野の送球ミスは気に掛けていた。慣れない環境の国際大会では、精神的な強さが特に求められる。

4月に初めて代表候補合宿を張り、木製バットの意識づけをした。一定の成果は出たが、石川が「どのチームもパワーがあった」と言うように、差を埋めるのは簡単ではない。苦しい中でどう点を取るか、いかに選手が本来の力を発揮できるかが、世界と戦う課題と思えた。【柏原誠】