大学14勝の北翔大・本前郁也、無の境地で指名待つ

プロ野球のドラフト会議が17日、東京都内で行われる。6球団から調査書が届いている北翔大のエース左腕、本前郁也(4年=札幌光星)が運命の日を迎える。最速148キロの直球と切れ味鋭い変化球で、札幌6大学リーグでは3度の最優秀投手に輝いた。高校、大学と全国舞台では無名の存在が、プロの世界で全国区を目指す。

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本前郁也は北翔大のグラウンドで黙々と練習を続ける。昨冬から愛用するグラブには「無」と刻まれている。

「無欲」を心がけるために刺しゅうを施したが、人生の節目が翌日に迫り「近づくにつれて緊張してきたけど、ただ待つことしかできないです」。高校では3年夏の南北海道大会で初戦敗退。大学では全日本選手権や明治神宮大会の全国出場の夢は果たせなかった。大学通算14勝。自らが北海道で積み上げてきた実績だけを信じる。

175センチ、76キロの細身から最速148キロの直球とスライダー、カーブ、チェンジアップを投げ込む。本前は「相手に圧倒されずに、まっすぐと変化球をテンポよくコースに投げられる」と自信を見せる。17年全日本選手権4強の東海大北海道、同年明治神宮大会準優勝の星槎道都大など強豪ぞろいの札幌6大学リーグで、2年春、3年春、秋に最優秀投手に輝いた。

プロ入りへ最後のアピールとなる今秋は、9月2日の日本製鉄室蘭シャークスとのオープン戦で打球が頭を直撃して、以後のリーグ戦を欠場した。18日間の入院中には、秋季リーグ期間中にもかかわらずチームメートが見舞いにきた。「指先を使うように折り紙を持ってきたりしてくれた。本当に助けてもらった」。たチームメートと大学への恩は忘れない。「全国経験はないけど、それでもドラフトで選ばれて活躍したい」。同大初のプロ指名を受け大学の名を全国区にする。

ドラフト後に、やりたいことがある。小中学生時代には練習場への送迎をしてくれ、今でも食事管理など22年間支えてくれた両親へ思いを伝えることだ。「普段話していると言いにくい『ありがとう』の気持ちを手紙にしたい」。プロ入団の喜びを込めた便りを届けられるか。笑顔で手紙を渡す日を思い浮かべ、その時を待つ。【浅水友輝】

その他の写真

  • グラブには「無欲」を意味する「無」の1文字を刻んでいる北翔大の本前(撮影・浅水友輝)
  • ドラフト会議での指名を待つ北翔大の本前(撮影・浅水友輝)