今夏の甲子園に出場した日本文理(新潟)の南隼人投手(3年)が、関甲新学生野球1部の新潟医療福祉大に進学する。最速143キロの速球とスライダー、カットボールなどを操る制球力を武器に日本文理のエースとしてチームを2年ぶりの甲子園に導いた。大学では高校で果たせなかった全国制覇とプロ入りを目指して実力アップを図る。

髪の毛が伸びた以外に、南が野球に取り組む様子は甲子園出場時と変わらない。部活を引退した8月以降も後輩たちの練習に参加し、体を動かしてきた。「大学に合流するまでに体重を増やしたい」。現在の体重は甲子園出場時と同じ74キロ。筋肉量を増やすため、筋トレに重点的に時間を費やす。「大学では(球速)150キロを出すことと、変化球の制球力を高めること」とハードルも設定してある。

6日に新潟医療福祉大の合格が決まった。「新潟から全国制覇、プロを目指したいと思った」。夏の甲子園は初戦の2回戦で関東第一(東東京)に6-10で敗れた。本気で目指した全国制覇はならなかった。次のターゲットは神宮球場での大学野球選手権制覇に移った。その過程で実力をつけることがその先のプロ入りにもつながる。

新潟医療福祉大は関甲新学生野球1部・秋季リーグ4位。投手陣には延長10回で参考ながらリーグ記録に並ぶ1試合18奪三振をマークした左腕・桐敷拓馬(2年=埼玉・本庄東)、本格派右腕の伊藤開生(3年=東京・成城)らプロ注目選手がそろう。南は9月にハードオフ新潟で行われた新潟医療福祉大-平成国際大戦を観戦。10奪三振で完投した飯塚亜希彦(4年=上越)の投球に衝撃をおぼえた。「球質も制球力もレベルが違う。飯塚さんのように1人の打者、1球により集中しないと」と気持ちが引き締まった。

日本文理の鈴木崇監督(39)は「新潟医療福祉大さんは全国制覇を狙っているチーム。少しでも、その力になってほしい」と期待を込める。南も自覚している。「春季リーグから投げて戦力になりたい」。活躍をイメージし、大学球界の一員になる。【斎藤慎一郎】

◆南隼人(みなみ・はやと)2001年(平13)4月2日生まれ、新潟市出身。山田小3年の時に、山田ホワイトウェーブで野球を始める。黒埼中では投手と捕手。日本文理では投手専念で、1年秋からベンチ入りした。憧れのプロ野球選手は楽天則本昂。176センチ、74キロ。右投げ右打ち。