日本ハム、横浜などで投手として活躍した島田直也氏(50)が20日、母校である常総学院の投手コーチとして始動した。

練習の最後に、初めて選手たちの前であいさつ。「私はプロを経験してきました。遠慮なく聞きにきてください。私も君たちに教わることがあると思います。これから、しっかりコミュニケーションをとって、全国制覇を目指して頑張っていきましょう」と笑顔で語りかけた。「目がギラギラしているように感じた。ここに来たからには、それなりの結果を出さなくちゃいけないと思う」とあらためて決意を固めた。

常総学院のレジェンドが、新しい風を吹かせる。島田氏は87年春に甲子園初出場を果たし、夏は準優勝まで上り詰めた。同校は、春夏合わせて優勝2回、準優勝2回を誇る名門だが、近年、16年夏にベスト8進出後に、あと1歩のところで甲子園出場を逃してきた。そんな中で島田氏に白羽の矢が立った。

DeNAとの契約が切れるタイミングで学校関係者から連絡を受け「お前の力を貸してくれ」と言われた。「うれしかった。育ててもらった高校で恩返しできれば」と熱い思いを明かした。16日に学生野球の指導資格も回復。学校職員として勤務しながら指導にあたる。

指導のモットーは「後悔なくやりきる」だ。「自分が一生懸命やったから次のステップがある。絶対にやりきって3年間を終わらせてあげたい」と話す。そのひとつに体のケアやトレーニングをあげた。「僕は高校時代、トレーニングや体のケアが好きじゃなかった。もっとしっかりやっていれば、もっと長く現役でプレーができたんじゃないかと思う。まずは、そういうことの大切さを伝えていきたい」とプランを描いている。

最速150キロ右腕でドラフト指名候補にあがる菊地竜雅投手(3年)は「自分も遅かれ早かれプロに行きたいと思っている。どうやったら活躍できるのか。登板日に合わせた調整方法なども聞いてみたい」と目を輝かせた。

目標は「甲子園優勝」だ。「時には厳しく、時には明るく。選手がやりやすい環境を目指したい。不安はない。楽しみですよ」。佐々木力監督(53)は「ここ何年か甲子園に出場していないので、違う風を入れて何かを変えて欲しい。貴重な存在になると思います」と期待する。常総学院のレジェンドが、強豪復活へ力強く導く。

◆島田直也(しまだ・なおや)1970年(昭45)3月17日、千葉県柏市生まれ。常総学院から87年ドラフト外で日本ハムに入団。大洋、ヤクルト、近鉄を経て03年に引退。通算419試合39勝38敗、防御率3・69。97年には最優秀中継ぎ投手を受賞した。引退後はBC・信濃で投手コーチ、四国IL・徳島で投手コーチと監督、15年から17年までDeNAで2軍投手コーチを務めた。175センチ、78キロ。右投げ右打ち。