巻の頭脳であり主将の石倉拓馬捕手(3年)が、巧みなリードでチームを勝利に導く。昨秋は公立で唯一ベスト4入りを果たした実力校。巻西中2年時から5年間バッテリーを組む「カメレオン投球」の村井考輔投手(3年)を引っ張り、県夏季大会の頂点を狙う。第4シードの巻は、23日に五泉と新潟東の勝者と対戦する。

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石倉はボールがミットに納まる音、1つ1つを確かめるように首を縦に振る。最後の大会に向け、バッテリーは最後の調整に入った。「村井の調子は良い。打者を打ち取るイメージしかない」。村井とは巻西中2年からバッテリーを組み、公式戦を戦ってきた。「村井の良さは自分が一番わかっている。相手打線にはやっかいな投手だと思います」と笑顔を見せる。

「しっかりした守備、信頼される捕手へ」。昨秋の県大会、34年ぶりの北信越出場を懸けた準決勝の加茂暁星戦(0●7)で石倉は初回に左膝を負傷。痛みに耐えながら出場を続けたが、投球を3度後逸(2捕逸、1暴投)して3失点に絡み、悔しさが残った。同じ失敗は繰り返せないと、以降は徹底的にブロッキングとハンドリングの基礎練習を繰り返し、守備力アップを図った。「早く試合がしたい」。日々積み重ねた努力の成果を見せつける。

新型コロナウイルスの影響による休校期間中は打撃の飛距離を伸ばそうと、自重で筋トレを行い、腕や背中の筋力アップを心がけた。「少しだけど、飛距離アップは実感できている」と手応えを口にする。

石倉が絶対的な信頼を寄せる村井は、上手、横手、下手とさまざまな角度からの「カメレオン投球」で打者をかく乱する。1年の秋から、当時コーチだった勝見邦弘監督(53)とともに作り上げた投球フォームは130キロ台の直球、カーブ、スライダー、シュート、シンカーを駆使し、コーナーを丁寧に突く投球で打者に的を絞らせない。村井は「打者は1打席で3人の投手と対戦している感覚。手応えはあるし今がベストな状態」と力を込める。

中学からともに汗を流してきた2人にとって、この夏がバッテリーを組む最後の大会。石倉は「良い思い出を作るには優勝しかない。しっかりリードして村井の良さを最大限に引き出す」。村井も「信頼しかない。ミットめがけて思い切り投げ込むだけ」。互いを認め合う2人が巻を引っ張る。【小林忠】

○…先発が予想される中川智樹投手(3年)は、力強い直球にスライダー、カーブを織り交ぜた投球で打者を手玉に取る。休校期間中は「徳島インディゴソックス」の動画を参考にボールの握りを研究。中川、村井の2枚看板で優勝を目指す。

◆村井考輔(むらい・こうすけ)2002年(平14)4月18日生まれ、新潟市(西蒲区)出身。浜っ子ライオンズ-巻西中。巻西中では1年秋から投手。巻では1年秋からベンチ入りし、左翼手と投手を務める。173センチ、72キロ。右投げ右打ち。

◆石倉拓馬(いしくら・たくま)2002年(平14)8月9日生まれ、新潟市(西蒲区)出身。M・Kドリームズ-巻西中。巻西中では1年秋まで投手。巻では1年秋からベンチ入り。171センチ、58キロ。右投げ右打ち。