甲子園交流試合が開幕し、日刊スポーツの評論家がプロの目で逸材をチェックする「プロ目線」に桧山進次郎氏が登場です。

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初めて天理・達君の投球を見ましたが、スゴイなあ。すごく魅力的ですね。2年生だし、まだまだ発展途上な選手ですが、来年のドラフトの目玉になるでしょう。将来、プロに入れば150キロを投げる剛腕になるんじゃないかな。

現時点でも、打者目線で嫌なポイントが2つあります。投球を見て真っ先に思ったのは、ゆったりしたフォームで投げることです。投球動作にメリハリがある。強弱がある。ゆっくりと足を上げるけど、腕の振りだけ速い。打者はタイミングをゆったりしたフォームに合わせていると最後の速い腕の振り、リリース時に振り遅れてしまう。差し込まれてしまうんですよね。

もう1つは大型だという点です。輪郭がカブスのダルビッシュ投手に似ていると感じました。ダルビッシュ投手の方が腕は下がって出る。達君の方が上から投げる印象です。193センチと上背が大きいだけで、武器。僕は現役の頃、長身投手にマウンドに立たれたら「うわ、近っ」と感じました。だから打席で足が上がって、投手を見る瞬間「近くないよ、近くないよ」と自分に暗示をかけていた。近く感じるだけで、打者は気持ちも体も前に出てしまいがち。「球、速いかも」って思うと自分の形で打てないですから。打撃練習でも、打撃投手に近距離から投げてもらったり、準備に費やすことが増えるから長身は嫌です。

この日はアウトコースが多かったけど、速球に角度がある。真っすぐが速いと、最後の左打者が空振り三振したような内角スライダーはすごく嫌な球になる。フォークもカーブもあるし、十分。次の1年でどこまで伸びるか楽しみ。まだお尻周りの筋肉がありません。本当の意味で体を強くすること。そうなれば、もっと真っすぐの威力は増すし、変化球もすべてよくなると思います。小細工や技術を覚えようとするより、とことん真っすぐを磨いてほしい。(日刊スポーツ評論家)