<甲子園高校野球交流試合:明石商3-2桐生第一>◇16日◇甲子園

日刊スポーツ評論家が甲子園交流試合に出場する逸材をチェックする「プロ目線」で、元阪神投手コーチの中西清起氏(58)が今秋ドラフト候補の明石商・中森俊介投手(3年)を分析した。

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明石商の中森君が、もしプロを目指すなら、即戦力に近い評価だ。いろんな球を操れるし、完成度の高い投手だと感じた。1軍に出てくるまでそんなに時間はかからないのではないか。

2回から6回まで、1人の走者も許さない完璧な内容だった。4回2死後、低く沈むチェンジアップでも空振り三振を奪っていた。速球は打者の手元で伸びるような球質だ。スライダーやチェンジアップも精度が高く、真っすぐも効くし、コンビネーションがいい。金足農の吉田輝星投手(現日本ハム)に似たタイプだと思うが、中森君の方が制球力は高いように映った。荒削りというよりも完成品という印象だ。「うまさ」が際立った投球だった。

総合力が高い好投手だろう。ただ将来的に、プロで長く活躍するために気になる点も指摘しておく。私は2年で甲子園に出てきたときの方が魅力を感じる。力でグイグイ押していた。真っすぐを待つ打者に対して真っすぐで勝負できる。そういう球を持っている。あれが、プロで生き抜く上で必要だろう。先発は中6日で、速球主体でもやっていけると思う。あれだけの強い真っすぐを投げられる。真っすぐで押し込むスタイルを目指してほしい。

今日もストレートでガンガン攻めるより、7、8割の力加減でリラックスして投げていた。(80年センバツ優勝の高知商で)私もそうだったから中森君の立場が分かる。甲子園の頂点を狙うためには、何試合も投げるスタミナが欠かせない。荒々しいだけではバテてしまう。打たせて取る制球で、球数を少なくする必要もある。中森君も勝てる投球を目指してきたはずだ。

ハイレベルだし、プロでもやれると思う。だからこそ、期待を込めて言う。投球術を覚え込むのは早い。若いし、2年生のときのようなスタイルで大きく育ってほしい。(日刊スポーツ評論家)