「2020年甲子園高校野球交流試合」が幕を閉じた。7月下旬からは新型コロナウイルスに感染する高校生も多く、今大会に参加した県岐阜商や昨春センバツ優勝の東邦(愛知)など、都道府県の独自大会参加を辞退する高校も多い状況だった。感染リスクが高まる中でも、日本高野連は、できる限りの感染防止策で開催への強い意志を示した。

現段階では出場32校から感染者の報告は出ていない。スタンドで観戦した保護者には入場券の裏に名前と座席番号を明記してもらい回収。感染した場合には緊急対策本部ですぐに対応する態勢を敷いた。試合終了後、相手校と握手もできず、大声で校歌を歌うことはできなかった。それでも日本高野連は今できるベストの方法で全国大会を開催し、秋以降のモデルケースを模索。ウィズコロナと言われる次のステップに向けて、今大会をやり遂げた意義は大きい。今後は有観客へ段階的に戻す方向だ。

明石商(兵庫)の狭間善徳監督(56)が「やっぱり2カ月間は大きかった」と話した。休校で練習できなかった時期の影響は高校生にとって大きかった。どのチームも体力や実戦感覚の不足は否めなかった。今大会3本塁打が記録されたがランニング本塁打を除くと柵越えは2本。例年では考えられない数字として、顕著に表れた。

ベンチ入り20人を使い切る学校、1年生を起用する学校、それぞれ交流試合に対する考え方は違ったが、甲子園でプレーできたことへの感謝の思いは同じだった。大会の形は違っても、夏の高校野球の歴史をつないだ。【アマ野球担当キャップ 石橋隆雄】