中日は26日に都内で行われたドラフト会議で、中京大中京の154キロ右腕・高橋宏斗投手(3年)をドラフト1位で一本釣りした。

高橋は名古屋市内の同校で会見し、西武松坂の「松坂世代」に象徴される世代NO・1投手を志した。18年の大阪桐蔭・根尾、19年の東邦・石川昂に続き3年連続で地元出身の高校生スター選手の指名に成功した。

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やはり体には青い血が流れていた。ドラゴンズブルー。闘志がたぎっても晴れの会見で表情を崩さない。喜びよりも覚悟がにじみ出る。「やらなければいけない使命感がある。いままで中日ドラゴンズの選手に多くの夢を与えてもらった。今度は自分が多くの子どもに夢を与えたい」。浮足立たず、冷静に志を語った。

中日とは相思相愛だ。地元の尾張旭市出身。三郷小6年時にはドラゴンズジュニアでプレーした。前日25日には1位指名を公表されていた。「小さい頃からの多くの憧れが詰まった球団に指名されたことはすごくうれしく思います。一番はホッとしたという気持ち」と顔つきをゆるめた。

この日も「大きいことを言っても…」と話した。ビッグマウスではないが野望は大きい。高校でこだわった「世代のNO・1投手」はプロでも貫く。「やるからには自分が一番をとりたい。周りがなんと言おうと、その人の名前を挙げるのが世代NO・1投手。自分以外にも(明石商)中森投手や(智弁和歌山)小林投手…。多くの人の名前が挙がる。圧倒的な力をつけないといけない」。長く日本球界を席巻してきた「松坂世代」が理想像だ。「まだ自分は到達していない。松坂投手がその世代のNO・1投手」と語気を強めた。

剛腕を極める。高橋が目を凝らしたユーチューブがある。西武のルーキー松坂のブルペン投球動画だ。いまの自分と同じ年齢の「伝説」と重ね合わせた。「こだわるのはストレート。絶対にぶらすことはない。分かっていても打てない真っすぐが自分のキーポイント」と言う。今季限りで引退する阪神藤川の映像も「多く見ました」と明かした。

当初の大学進学からプロの道へ。「155キロを出すのは最低限のライン。それより高みを目指したい。勝ちに貢献できる投手になりたい」。幼い頃、落合中日の黄金期の記憶が強いという。「Vシーンは魅力的」と言う。高橋世代、常勝ドラゴンズ復活…。大物ルーキーが夢のスタートラインに立った。【酒井俊作】