2年ぶりに春の高校野球が開催される。第60回春季全道高校野球地区予選の組み合わせ抽選が21日、全10地区のトップを切って札幌地区で行われた。19年夏以来の単独出場となる野幌は初戦で恵庭南と対戦する。19年秋、昨年の夏・秋はいずれも3校連合で出場。11年秋以来の単独1勝を目指す。昨秋、全道Vの北海に逆転負けした立命館慶祥は、滝本圭史新監督(39)が今春に就任し、初戦で酪農学園大とわの森三愛-札幌白石の勝者と対戦する。

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立命館慶祥は新体制で秋の雪辱を目指す。OBで99年春、同高初の全道大会出場に貢献した滝本部長が、96年から25年間指導した横山初代監督からバトンを受け継いだ。滝本監督は「母校の指導に直接、携われるのは幸せなこと。できること、やってきたことを試合でどう出せるか。そこを大事にしていきたい」と意気込んだ。

昨秋は王者に悔しい敗戦を喫した。北海のプロ注目左腕、木村大成(3年)から初回に1点先制も、その後、畳み掛けられず1-6で逆転負け。主将の島山大輝三塁手(3年)は9回先頭で木村から中前打を放つも、得点にはつながらなかった。「詰めの甘さが出た。初回の1点だけで流れを自分たちに持ってこられなかった」。父浩一さん(53)は日南学園(宮崎)の元球児で社会人野球の王子製紙でもプレーしたが、甲子園には縁がなかった。OBの兄2人も聖地には届かず。島山家の思いを背負い、高校最終学年に臨む。

2年生右腕の杉本晃野は、北海の主砲宮下朝陽(3年)から5回に左越え2ラン、8回に右越えソロと2発浴びた。「力の差を感じた。でもあの経験があったから冬場は“北海を倒す”ということを掲げてやってきた」。昨秋までの直球とスライダーに、カーブ、チャンジアップなど4つの新球を加え「緩急を生かすことを覚えた。冬場の成果を試したい」と思い描いた。

昨秋の敗戦後、滝本監督は、横山前監督から「今日で俺は終わり。明日からお前の好きなようにやれ」と伝えられ、事実上の指導は昨秋から開始した。新体制では週1回程度、ミーティングを実施しパワー、スピードなど約20項目に分けた強化目標を数値化。月1回の体力テストで進捗(しんちょく)状況を確認し、パワーアップにつなげてきた。ひたむきな試みを、結果につなげる。【永野高輔】