けがに悩まされてきた仙台育英の最速145キロ左腕、斎藤蓉(よう)投手(3年)が、今夏初先発で15年以来7年ぶりの4強を呼び込んだ。20日は史上初となる東北勢同士の準決勝で聖光学院と激突する。昨秋は腹斜(ふくしゃ)筋を痛め、7月には左肘の靱帯(じんたい)を損傷。宮城大会はメンバー入りしながらも登板がなかった。それでも救援した2、3回戦に続き好投。5回を1安打5奪三振の1死球で無失点に抑え、71球に持ち味を込めた。

4回まで無安打投球。これ以上ない立ち上がりに、打線も3回までに5点を挙げて援護した。「今まで自分は四球や死球で失敗することが多かったが、今日はそれが1つだけで、自分の良さを最大限に出せてよかった」と胸を張った。須江航監督(39)が「ナチュラルにシュートする」という直球に、カットボールなど変化球もさえた。5回先頭に初安打を浴びたが、後続をいずれも直球で遊ゴロ併殺、遊ゴロに仕留めた。

負けず嫌いで、「継続は力なり」の言葉を信じて練習を重ねてきた。野球を始めた小学2年時から毎日のように壁当て。酒田シニア時代は練習後のランニングを欠かさなかった。同シニアの高清水太郎監督(53)も「彼は本当に努力家でした」と振り返る。小学6年時の最速は100キロに満たなかったが、中学3年春には120キロ台に。高校ではスクワットやボックスジャンプで下半身を鍛え、最速は入学時の125キロから20キロアップした。

東北勢初の日本一にあと2勝。斎藤蓉は「目の前の試合に集中し、準備を怠らず、1戦1戦、決勝に行けるように頑張りたい」。与えられた場所で強気に攻めるだけだ。【山田愛斗】

▽仙台育英・須江航監督(39) (斎藤蓉は)今まで練習試合で失敗してきたことを全部回収して今日、今までの経験を学びに変えて投げてくれたと思います。

○…宮城大会メンバー外だった岩崎が、2安打2打点で勝負強さを発揮した。3回1死一、二塁、5回2死二塁でともに左前へ適時打。今大会ここまで2試合連続で代打で打点を挙げていた好調さを買われた。起用に応える活躍に「甲子園でリベンジしようと思ったので、練習の成果が出た。緊張よりも楽しもうという気持ちが強かった」とうなずいた。