<全国高校野球選手権:履正社10-4高知中央>◇13日◇2回戦

高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

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高知中央のエース高橋秀斗投手(3年)は諦めない心で投げ続けた。初回に2点を先制され、なおも1死満塁で救援登板。6回途中まで8失点したが、表情を変えなかった。「次のステップでも、履正社戦を思い出しながら練習しようと思います」。試合後は涙を見せながら、今後の糧にすることを誓った。

10歳で「投手がやりたい」と父にせがんだ。うまくいかない時もあったが、負けん気の強さで、時には泣きながらシャドーピッチングに励み、フォームを固めた。大阪・富田林市出身で自ら望んで高知中央に進学したが、入学直後に両親へ「このまま帰りたい」と弱音をもらした。「寮生活がしんどくてつらかった。ホームシックもあり、同級生みんなと『頑張ろう』と励まし合った」。

その当時、「甲子園のマウンドに立つことは想像できなかった」と語る。2年秋には、太田弘昭監督(51)のすすめでサイドスローに転向。精神的にも肉体的にも鍛えられ、朝6時から夕方6時まで、12時間練習も乗り越えられた。家族の支えも心のよりどころだった。「富田林に帰省すると、好物のカルパッチョを作って出迎えてくれた」。聖地では、一家総出で応援。父・遵次さん(56)は「そらもちろん、今まで怒ることもあったけど、親孝行してくれましたよ」。背番号1のわが子の最後の試合に拍手を送った。【中島麗】