青森山田のクールとホットの2枚看板が、明治神宮大会でもお互いを高め合う。秋季東北大会を制した青森山田は、17日に星稜(石川)と対戦。最速145キロのエース右腕・関浩一郎、最速144キロ右腕・桜田朔の両投手(ともに2年)は、マウンド上ではライバル、クラスでは席が隣の仲良しコンビ。出場確実の来春センバツに先駆け、全国の頂点を狙う。【取材・構成 濱本神威】

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桜田とは普段から競い合う仲だ。関は「練習が終わった後の自主練習を(桜田)朔がやっていたら『やらなきゃ』と思うし、自分がやっていたら朔も絶対やりに来る」。練習を始める時間が違っても「先に終わるのはちょっと…」と対抗心を燃やし、ご飯を食べる量でも競い合う。

関は、東北大会準決勝の一関学院戦で2安打完封の快投。しかしその翌日、ライバルがノーヒットノーランを達成した。「チームとしては良いことで、優勝というのはうれしいこと。けどやっぱり悔しい思いが、それより少し大きくて。どこかモヤモヤしていました」。試合後の整列でも「1人、顔が笑えてなかった」という。だからこそ、神宮ではエースとして桜田以上の存在感を発揮したいと願っている。

マウンド上ではいたってクール。「周りの人たちを信じて投げている。自然体で、自分のプレーを出すだけ。1個のアウトを確実に、確実に」。雄たけびやガッツポーズなど、マウンドで感情を表に出すことは極めて少ない。ただ、淡々とアウトカウントを積み重ねることだけを意識している。だが、桜田のこととなると「次は見返してやろうという気持ちがあります」と、燃えたぎる闘志を抑えられない。神宮に向けて、「レベルが上がっていくにつれて、自分のするプレーも高いものを求められる。1番を背負っている分、その番号に似合うような、恥のない投球をしたい」。「背番号1」には「譲れないものがある」と目をぎらつかせた。ノーノーを達成したライバルにも、エースの座は譲らない。

2人は同じクラス。元々左斜め後ろと席は近かったが、秋の青森県大会前に行った席替えで隣に…。さらに近くなった。クラスでは野球や学校であった面白い話をするが、いざ練習が始まるとライバル意識全開!。桜田は「同じことをやっていたら差はつけられない。『関はこれくらいやってたな』と思って、それ以上やろうとしています」。ウエートトレーニングの時間や重量も少し長く、重くを意識。「意識しちゃいますね。見えるところにいるので…」。いつもすぐそばにいるからこそ、競争心にも拍車がかかる。

桜田は、決勝の八戸学院光星戦でノーヒットノーランを達成。原動力の1つは、準決勝での関の投球だった。「関が抑えてすごい悔しかった。みんなが喜んでいる中で、自分ももちろん喜んでいるんですけど、すごいモヤモヤしていた。ずっと悔しいなと思っていた」。翌日、次は自分だと言わんばかりのノーヒットノーランで関の好投に応え、「自信につながりました」。神宮でも負けてはいられない。

関とは対照的にマウンド上で感情を表に出す。「みんなに助けてもらわないといけないとずっと思っている。みんなと声をかけ合って、自分のピッチングから盛り上げていきたい」。バックを盛り上げようという思いで拳を握り、雄たけびをあげる。神宮に向けては「今後につながる大事な試合になる。自分が今出せる以上のピッチングをしないといけない」。ライバルとは違う、自分らしいスタイルで、チームの勝利に貢献してみせる。

◆関浩一郎(せき・こういちろう)2007年(平19)3月8日生まれ。青森市出身。篠田小5年時に野球を始め、沖館中では青森戸山リトルシニアでプレー。青森山田では昨秋からベンチ入り。今秋からエースナンバーを背負う。187センチ、80キロ。右投げ右打ち。

◆桜田朔(さくらだ・さく)2006年(平18)4月18日生まれ。青森県五所川原市出身。三輪小2年時に青森ジャイアンツで野球をはじめ、青森山田中では青森山田リトルシニアでプレー。21年夏に、同シニアでエースナンバーを背負い、東北勢の中学球界初となる日本一に貢献した。184センチ、77キロ。右投げ右打ち。