大会5日目が終わった。新基準のバットが大きな話題になっているが、一方でずっと気になっていたことがあった。試合を見ていて何かしっくりこない。

捕手のミット音がバックネット裏の記者席まで届いてこない。ここからは捕手の背中しか見えないが、ボールをこぼすシーンが1試合で何度もあった。やけに多いな、と。ポロポロこぼす背景には、かなり大切な課題がある。捕球がおろそかになっているのではないか。だからミットからこぼす。そして、ミットの芯で受けていないから「パン」という捕球音が聞こえないのだ。

私はブルペンでは投手の気持ちを上げるためにミット音を出すように努めたが、試合ではミット音よりも芯で受け、ミットを動かさず球審に見やすいキャッチングを心がけていた。しかし、第5日まで見た範囲では「パン」「パン」と音が響いてこない。芯で受ける確率が低い。さらにそれ以前の問題として、こぼす場面がやけに目についた。私は無意識のうちにミット音が連続しながら試合が進むイメージが心の中にあったため、やけにミット音の少なさに違和感を覚えたということだ。

1つ気になった場面があった。第4日の試合で、捕球体勢で右膝を地面につけ、外角低めのボールに対しミットを下から上へ動かしながら捕球していた捕手がいた。おそらくフレーミングを意識してだろう。フレーミングの是非について、ここでは詳しく触れないが、まず芯で受けること。これがキャッチングの一番先に来る。基本が体に染み付いてから、より高度なこと、より工夫したキャッチングへと進めていくのが、本来の順序だ。

まず真っすぐを確実に芯で捕る。これを徹底してほしい。芯で捕れば、おのずとミット音も鳴る頻度は高まる。試合でしっかり捕球するのは、キャッチングの根本。そこをあやふやにして球審にアピールするフレーミングに注意が移っては、順序が逆だ。

私が見た中で、ミットを動かさず、真っすぐを芯で捕る確率が高かったのは、作新学院の岩出純捕手(3年)、高崎健康大福祉高崎の箱山遥人捕手(3年)だった。いずれも送球などにまだまだ伸びる要素はあったが、「芯で捕る」、「ミットを動かさない」への注意力は感じられた。ぜひ捕手はこうしたところも気を付けて練習してほしい。(日刊スポーツ評論家)

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