目黒区と離島の大島をつなぐ夏が始まる。
国際・西岡大佑主将(3年)が、組み合わせ抽選会に出席した。この夏は駒場と、伊豆諸島の大島、大島海洋国際との連合チームで挑む。対戦相手は実力校の錦城学園に決まった。
いよいよ対戦校も決まった。だが、4校の選手全員が一堂に会したことはこれまで1度もない。来週末、目黒区の国際グラウンドにようやく全員が集結する。「たぶんそれが最初で最後の合同練習です」。数えるほどしか顔を合わせていない。大島海洋国際の選手とは実際に会ったことすらないのに、寂しそうな表情を見せた。
国際は今春から大島、駒場と連合チームを組んだ。そこに大島海洋国際が加わった。普段の練習は同じ目黒区にある駒場と行ってきた。
「学校ごとにコミュニケーションをとっていかないと。やっぱり各校が練習しているものだったり、レベルが違うところがある。コミュニケーションで補うことで、一体感を持たせるように」
遠く離れた仲間とは主にLINEグループでやりとり。ビデオ通話はそれぞれの予定が合わないとできない。だから、テキストで作戦を話し合うことの方が多い。
「野球の中だと紛らわしい表現があると言いますか。雑にやらずに丁寧に1個ずつ明確にしていった方が、全員に伝わりやすいかなって」
言葉にこだわるのには訳がある。「うそを言ってるんじゃないかって思うかもしれないんですけど…」と、前置きして続けた。
「文字を使うと言いますか…本が好きなので、記者みたいな感じになりたいなと。言葉や文字に携われたら、うれしいなと」
小学生から中学生まで、シンガポール、中国で過ごした。野球は父に手ほどきを受けてきた。
高校入学を機に帰国。「英語に興味があって。英語を学びたいなって思った時に、都立国際が一番いい環境だった」と、国際科のある国際に入学した。
国際の野球部員不足は承知の上。単独チームでの出場は3年間で1度もかなわず。しかも、同学年の部員は自分1人だけだった。
それでも野球を続けてきたのは、野球が「好き」なだけではない。自身がこの夏に引退してもプレーを続ける後輩たちのため。
「去年後輩が4人入ってきてくれて。そこで、来年、またその次の年と、1年生が入ってきてくれたら、単独で出られるんじゃないかなと思ってた希望がありますし。あとはもう、野球が好きだから」
1週間後には、最初で最後の合同練習。「他の部員は新しい仲間とプレーできるってことで楽しみにしてるな、と思うところもありますけど。統率する人数も増えるので、自分がリーダーシップを発揮して。学校ごとに固まって、そこで話してしまうこともあるので。そこでコミュニケーションが取れるか少し不安です」と、主将ならではの心配も抱える。
本気の野球はこの夏で最後。卒業後は大学に進学して海外留学する予定だ。
目黒区と海を挟んで100キロ以上の距離を埋めるのは言葉。西岡はどんな言葉で、どんな夏を過ごすのか-。【黒須亮】

