佐野日大(栃木)が聖隷クリストファー(静岡)を1-0で破り、25年ぶりの夏の白星を挙げた。

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89年夏。佐野日大のエースとして臨んだ開幕カード、近大福山戦で1-0の完封勝利を飾ったあの日から37年。甲子園の夜空の下で歌った校歌に、麦倉洋一監督(55)が酔いしれた。「あの時と同じスコアで勝てた。選手の時は無我夢中だったが、生徒や応援団みんなと校歌を歌えた今日が一番うれしい」と声が震えた。チームとして夏は01年以来25年ぶり。指揮官として贈られた万感の初白星だった。

自らの原点と重なる1-0で完封一番乗りを決めたのはエース鈴木有投手(3年)だった。9回102球、無四球と抜群のコントロールで本領を発揮。「ストライク先行で粘り強く投げ切る」という理想通りのピッチングを貫いた。今春のセンバツは0-2で三重に初戦敗退。「自分のせいで負けた。だから春は甲子園の土を持ち帰らなかった」と明かす。その悔しさを糧に磨き上げたのが、元阪神投手でもある麦倉監督直伝のコントロールと変化球の精度だった。

「150キロを出せるなら出したい気持ちはあるが、全国で通用するのはコントロールだと分かった。球速にはこだわらない」と言う。この日は最速142キロ直球に、スライダーとカットボールを投げ分け、中盤からは解禁したカーブで相手打線の狙いをことごとく外した。要所で見せた7奪三振に「今日はピンチで三振が取れたことが成長した部分」と手応えを口にした。

鈴木の父、一平さんも同校OBで97、98年に遊撃手として甲子園出場。「お父さんが歌った校歌を自分も歌うことができてうれしい」と笑った。歴史が交差する劇的な勝利を飾った佐野日大が、次戦の神村学園戦へ向けて熱い一歩を踏み出した。【鳥谷越直子】

◆佐野日大・麦倉の1-0完封 89年夏の開幕戦、近大福山戦で先発麦倉(現監督)が9回表、自ら決勝本塁打。夏の大会の平成1号で挙げた1点を守り、完封勝ちした。麦倉は栃木大会から通算48回無失点をマーク。同年ドラフト3位で阪神に入団した。

◆麦倉監督が初勝利 佐野日大・麦倉洋一監督(元阪神投手)が監督として甲子園初勝利。学校としてスコア1-0の勝利は麦倉監督が現役時代の89年夏、近大福山を完封して以来2度目。師弟ともに1-0完封した最近の例では、沖縄尚学・比嘉公也監督と教え子の08年東浜巨、14年山城大智、25年末吉良丞がある。

○…佐野日大・中村主将が、PL学園元監督の祖父、中村順司氏(80)が見守る前で約束を果たした。好機の打席も含めて4打数無安打。「自分が打てればもっと楽な展開になったかなと非常に悔しいです」と反省も、勝利を決める最後の1球を一塁でキャッチ。スタンドで見守った甲子園58勝の祖父は「甲子園ではまずみんなで校歌を歌おうなと約束していました。次の試合で夏の初ヒットを期待しています」と目を細めた。

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