水次祥子の「MLB 書かなかった取材ノート」

MLB報酬面で隔たり…開催へ何とか落としどころを

MLBの今季再開に向けオーナー側と選手側が協議を続けているが、報酬面で両者に大きな隔たりがあり、合意に至るまで難航しそうだ。

昨年開幕時のドジャースタジアム
昨年開幕時のドジャースタジアム

開催反対を唱え続ける選手は多い。レイズのブレーク・スネル投手(27)は「大幅減額なら今季プレーしない」と拒否反応を示し、レッズのトレバー・バウアー投手(29)は「オーナー側の提案はジョーク」と取り合わない。カブスのダルビッシュ有投手(33)は、今季プレーをすれば「濃厚接触だらけになる」と安全面の懸念をツイッターで訴え続けている。

今季プレーすることにより、大きな感染リスクに直面しそうな選手もいる。ドジャースのスコット・アレキサンダー投手(30)は1型糖尿病の持病を持っており、25日付のロサンゼルス・タイムズ電子版で「感染すれば命の危険が高まると医者に言われたら、今季プレーしないという選択を本気で考える」と話している。

ロッキーズのデービッド・ドール外野手(26)は、15年に脾臓(ひぞう)の摘出呪術を受けて、今も免疫力が低下した状態だという。その分、感染するリスクが高く、今季プレーすれば危険と隣り合わせになるかもしれない。またインディアンスのカルロス・カラスコ投手(33)は白血病の闘病生活から復帰したばかり。他にもがん闘病から復帰するなど、大病の経験がある選手は意外に多い。

シーズンを行うとすれば検査体制を充実させることになるとはいえ、選手によってはプレーをすることに命懸けの覚悟をしなければならないかもしれない。

オーナー側が26日に提示した正式な選手の報酬案は、高額年俸選手ほど減俸幅が大きくなるスライド制を採用したもので、選手側としてはとても納得できるものではなかった。トップクラスの活躍をし、スターとしてMLBに貢献している選手ほど厳しい減額を強いられるというのはいかがなものかと、高給ではない選手たちがむしろ声を上げた。金銭の問題という以上に、選手の感情を負の方向へ極端に刺激してしまったように思える。

それでも、今季開催を望む選手の声も、また多い。ツインズの指名打者ネルソン・クルーズ(39)は地元メディアに「結局のところ、我々全員、野球がしたいと思っている。オーナーもチームも選手も、全員が思っている。困難に立ち向かうことになるが、野球ができるのなら、僕らは対応していけると思う」と話していた。メジャーで15年プレーを続け、40歳目前にしてもなお野球への情熱を失わない大ベテランの、熱い思いが伝わる。

野球をしたい、見たいという思いは皆同じ。何とか落としどころを見つけられないものか。

◆水次祥子(みずつぎ・しょうこ) ニューヨーク大学でジャーナリズムを学び、現在もニューヨークを拠点に取材。03年4月8日、ヤンキースタジアムでの松井秀喜ホームデビュー戦満塁弾など球史に残る場面に多数遭遇。最新刊『野茂英雄から20年「メジャー記者の取材ノート」心に残る選手たちの言葉。』(電子書籍・ゴマブックス)

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