右肩を痛めて11年9月3日の巨人戦(神宮)を最後に1軍登板から遠ざかっていたヤクルト由規投手(25)が先発登板。1軍相手には約3年半ぶりの対外試合で、2回30球を投げて1安打無失点。最速は151キロをマークし、完全復活に向けて力強い1歩を踏み出した。
観衆の不安を1球で打ち消した。1回、ヤクルト由規が先頭西川へ投じた初球147キロ直球に、「うぉー!」と球場がどよめいた。右肩を故障して遠ざかっていた1軍マウンドは、1069日ぶり。「緊張しました。やっぱり声援がファームの時と比べてすごいし、投げられたことが良かった」と喜びをかみしめた。
元日本人最速男は、今キャンプ最多の観衆6815人をさらに沸かせた。2回1死走者なし、近藤へ投じた6球目に、この日最速151キロをバックスクリーンに表示した。「スピードは分からなかった。指にかかった直球はなかったし、良くなかった。自己採点は40点くらい。でも結果的に0に抑えられたのは良かった」。2回を1安打無失点の結果に、少しだけ表情を緩めた。観戦した父均さん(54)も「ファンの方が由規を覚えてくれていたんだと、声援を聞いて安心した」と笑った。
新たなスタイルも披露した。1回2死走者なしで谷口を一ゴロ、2回先頭の北は二ゴロと、ともにスライダーで仕留めた。巨人樽見スコアラーが「直球だけではなく、独自な曲がりをするスライダーは簡単に打てない」とうなれば、阪神嶋田宗スコアラーも「スライダーはキレ味があってやっかい。対策を練らないと」と険しい表情になった。鋭さを増した変化球に、ライバル球団の007を警戒させた。
まずは復活へ向けた第1歩を踏み出した。ただ浮ついた様子は一切ない。「まだマウンド上の姿勢とバランスが良くない。前のめりになっている」。上体が安定しないことで、リリースにばらつきがあると分析。故障の原因にもなった、踏み出す左足が内側に入る悪癖の修正を今後の課題に挙げた。やるべきことはまだ多い。全ては、神宮のマウンドに戻るため。「不安も解消されつつある。ぜひとも1軍で投げたい」。心からの笑顔はシーズン本番まで、取っておく。【栗田尚樹】
◆肩を手術した主な投手 近年では馬原(オリックス)が12年2月に右肩腱板(けんばん)及び関節唇のクリーニング手術を行い、14年に32ホールドと復活した。現役では福原(阪神)木佐貫(日本ハム)館山、新垣(ともにヤクルト)内(ロッテ)らが手術を経て復活。ヤクルトでは岡林、伊藤智、石井弘、川島亮らがメスを入れている。手術を回避した選手は黒木(現日本ハムコーチ)浅尾(中日)ら。




