阪神は球団創設80周年を記念して「永久欠番デー」を開催した。この日、巨人とのオープン戦は和田豊監督(52)をはじめ全選手が故藤村富美男氏の永久欠番「10」を背にしたユニホームを着た。

 153キロが出た! 阪神松田遼馬投手(21)が3つの要素を掛け合わせ、こん身の1球を投げ込んだ。8回にリリーフすると、先頭の松本哲へいきなり152キロ。続く外角高め直球で空振りを奪うと、スコアボードに自己最速タイの「153キロ」が浮かび上がった。

 「順調に来ています。いいボールがあったり、悪いボールがあったりまだまだですが」

 昨秋、巨人とのCSファイナルステージで記録した自己ベストに、気温12度の環境下で早くも追いついた。2番片岡に中前打を許したものの、打者4人から2三振。きっちり無失点で役目を果たした。なにより光るのはその球威だ。最大の源はコンディションの良さ。2年連続の故障を踏まえ、今年は2軍キャンプで調整してきた。「2年連続で失敗しているので」とペースを抑えて取り組んだ結果が、徐々に出始めている。

 次に相手打線がアドレナリンを引き出した。普段は冷静に言葉を並べる遼馬が、率直な思いを明かした。「今日は(巨人を)意識しました。シーズンを通して抑えていこうという気持ちが強いので」。まだ未経験の1軍フル回転が実現すれば、必ず立ちはだかる宿敵。沸き立つ闘争心は、猛虎の80年を築いてきたレジェンドの面々と同じだった。

 「永久欠番で投げる機会はないので、重みを感じながら投げました」

 最後のアシストは初代ミスタータイガース藤村富美男氏の背番号10だった。視界良好を証明する153キロ。8割方直球勝負の14球を投げ終え、遼馬が「8回の男」への階段をまた1歩上がった。【松本航】