初抗議にナインが燃えた。ソフトバンクが8回に逆転勝ちし、開幕5連勝中だった西武に初黒星をつけた。8回に工藤公康監督(51)が、李大浩の中堅飛球をめぐって約2分半の猛抗議。その後、途中出場の高谷が満塁から逆転の3点二塁打を放ち、試合をひっくり返した。初の連勝で初めて貯金を1とした。

 高谷の打球が中堅手の右を抜けていくと、工藤監督は両手でガッツポーズしながらベンチを飛び出した。「ざまぁみろ!」。興奮の表情で開いた口はそう動いたように見えた。8回2死満塁から逆転の3点二塁打。痛快な逆転劇に酔いしれ大声が出た。

 発火点はその数分前だ。就任初の抗議に出た。1死一塁、李大浩の中堅への飛球は西武秋山が地面スレスレで処理。一塁塁審は両手を広げ「フェア」、三塁塁審は「アウト」。二塁塁審はジャッジをしていなかった。一塁走者内川も戸惑った。結局打球が地面に着いたと判断され、記録はセンターゴロ。納得できなかった。

 工藤監督 (ジャッジを)2つ出してしまったのは審判も認めた。判断は誰がするのか明確にしてほしいと言った。(抗議で)より一層興奮してしまいました。

 指揮官の熱い思いにナインも応えた。2死満塁に好機を広げ、打席には高谷。ベンチにはこの日育成から支配下登録し即ベンチ入りさせた第3の捕手細山田が残っていた。打撃コーチからは代打吉村も提案されたが「右(増田)対右(吉村)より(左の)高谷にかけようと」と託した。

 高谷は「結果を恐れずタイミングを合わせようと」と144キロ直球をコンパクトに振り抜いた。2年ぶりの安打、2年ぶりの打点を放ち、ベンチに戻ると工藤監督から「よくやってくれた。いい働きだった」と、後ろから抱きつかれた。

 積極采配が決勝打を生み出した。キャンプ中に正捕手細川が右手親指を骨折。斐紹は開幕3戦目に走者と激突し左膝を負傷し離脱。3月29日にインフルエンザからファームに復帰したばかりの高谷が昇格した。昨年はほぼ1年、第3の捕手としてベンチ入り。だが打席と打席の間が1カ月空くなど、実戦感覚が戻らなかった。工藤監督はビハインドの展開なら積極的に捕手に代打を出し交代させる。前日2日の9回に打席に立った経験が翌日に生きた。

 チームは初の連勝。この日が古巣西武との初対決だった工藤監督は「今は敵なので、しっかり割り切って勝つためにどうしたらいいかやっていきたい」。興奮気味の言葉も熱かった。【石橋隆雄】