無念だ。阪神岩田稔投手(31)は快投実らず、またも今季初星を逃した。3点リードの7回、先頭の1番石川に死球を与えるまで完全投球。ここからボールが上ずり、7回1死一塁からDeNAクリーンアップの3連打で2失点したところで降板。8回に3番手福原が同点ソロを浴び、手から勝ち星がスルリ…。チームが勝利したこともあり、サバサバした表情だった。
「(完全投球に)気づいてはいたけど、そんなこと起こるわけがないと思って投げていた。(死球で動揺は)なかったけど、すべてはあの回。あそこで力んでしまった」
昨季2試合17イニングを自責点ゼロに抑えた横浜スタジアム。最速146キロの直球に力があった。制球よし、変化球のキレもよし。特にカーブの曲がりが抜群だった。大記録の予感は漂い始めていたにも関わらず、「抑えたい」と力んで崩れた自分が悔しくてならない。7回途中を2失点。数字だけを見れば十分な結果を残したが、自らを甘やかすことはなかった。
師匠の言葉を裏切るわけにはいかない。昨年11月、日米野球を戦う侍ジャパンの一員に選ばれた。09年WBC以来の栄誉。ある時、マスコミを通じて巨人杉内のコメントを知った。「左で選ばれたんだから、これからいっぱい代表に招集されていくでしょう」。かつては鹿児島で合同自主トレをともにした先輩の思いが純粋にうれしかった。同時に責任の重さも自覚した。
「日本代表というのは超一流の集まり。野球人として、タイミングさえ合えば毎回呼ばれたいと思っている。杉内さんもずっと代表に入っていた。自分もああならなアカン」
快挙達成はならかった。今季4戦目での初星も逃した。ただ、大記録を狙える投手であることもあらためて証明した。【佐井陽介】



