あわや乱闘の騒動から惨敗した。阪神藤浪晋太郎投手(21)が2回、バントの構えだった広島黒田へ際どい内角球を続け、激高された。両軍ベンチがにらみあう一触即発の事態に発展。不穏なムードから流れを失い、今季ワースト11失点。藤浪は5回6失点で4戦勝ちなし、チームは99年以来となる4月中の借金5を抱えた。今日にも単独最下位転落の危機だ。

 黒田が立ち上がった。1歩1歩、マウンド方向に足を踏み出した。日焼けした表情はこわばり、荒々しく言葉を吐き出す。「おとこ気」が代名詞の40歳は激高していた。快晴に包まれるマツダスタジアムの空気が、一気に凍りついた。

 藤浪はすぐさま神妙な表情で帽子を取った。謝罪にも場は収まらない。両軍ナイン、首脳陣がベンチから飛び出し、ホームベース付近に集まる。左翼からマートンが走ってくる。あわや乱闘の雰囲気から、虎は目に見えて崩れ落ちた。

 藤浪 バントをさせようと、先に走りだしてしまった。しっかり投げないまま走りだして、ああいうボールになってしまいました。

 1回に被安打3で先制点を献上。同点とした直後の2回裏1死一塁だ。バットを横にした9番黒田に対し、1ボールから2球連続ですっぽ抜けた。一瞬でも早く犠打へのチャージに入ろうとした策にミスが生じた。肩口付近への146キロ直球でのけぞらせる。続けて143キロ直球が再び内角高めに浮いた。間一髪でのけぞって死球を回避した大ベテランは激怒。一触即発の雰囲気となった。

 プレー再開後、黒田を一ゴロに打ち取って2死三塁。異様なムードにのみ込まれるように、1番田中の平凡な一ゴロをゴメスがファンブル。適時失策で2点目を奪われた。3回は無死一、三塁から2者連続失策で2失点。5回にも1四球2安打で2失点し、降板を余儀なくされた。

 藤浪 (失策など)不運な部分はあったかもしれないけど、もう少し粘れた。

 昨季9戦6勝のお得意様カープを相手に今季初の中5日&カード初戦。「柱」と期待されながら、5回を7安打4四球6失点(自責点3)で今季2敗目を喫した。最速153キロの直球はシュート回転を消し去れず。5イニングで先頭打者を4度出塁させ、猛省した。

 藤浪 先頭を切らないと流れはできない。(フォームは)上体に頼りすぎた。四球も多かったし、その辺を修正していきたい。

 シーズン初戦の3月29日中日戦以来、4戦連続で白星なし。自身はこれで敵地6連敗。そんな数字以上に、あわや乱闘のシーンに象徴される通り、抜け球が気掛かりだ。チームは8カード連続の勝ち越しなしが決まり、ついに勝率3割台に突入。今季初で最下位になった99年以来16年ぶりとなる4月中の借金5を背負った。藤浪の躍進なくして、虎の浮上はない。だからこそ虎党は皆、藤浪晋太郎の100%を今か今かと待ちわびている。【佐井陽介】