巨人の野球は2アウトから! 2死からの計3得点でヤクルトに競り勝ち、今週5試合で4度目の1点差勝ちを決めた。3回は2死走者なしからの内野安打を皮切りに2得点。4回には2死三塁から杉内俊哉投手(34)が決勝適時打を放った。今季は128得点中、アウトカウントが2死の場面で約半分の62得点。堅守でロースコアに持ち込み、2死からの粘りで得点を奪う必勝パターンで、首位DeNAを追走する。

 3アウトでチェンジを予想していた観客が、大きく沸いた。4回2死三塁で、打席は投手杉内。前打者の小林は、ヤクルト石川の狙い通りにボール球を振らされて三振を喫した。巨人ファンですら凡退を覚悟する状況でも、杉内は違った。「何とか打ってやろう、食らいついていこうと思っていました」と外角スライダーに腕を伸ばし、決勝の中前適時打とした。投手に打たれた石川はグラブを右太ももにたたきつけた。それほどのショックを与えた。

 今季の戦いぶりを象徴するような得点パターンだった。意外な数字がある。128得点で、ほぼ半分の62点を2死の場面で奪った。主力に故障者が相次ぎ、ド派手な空中戦を望めないのが現状。だからこそ追い込まれた状況で、つなぎの意識がより強くなっている。加入1年目の堂上も「1人というより全員で攻撃している感じ」とすごみを実感する。

 3回の2得点も2死から生み出した。大田が自打球を足に当てながら、ボテボテの三ゴロを内野安打にした。石川が意気消沈したところで井端が「前に飛ばなかっただけですよ」と謙遜しつつ、9球も粘って四球をもぎ取った。その姿に、亀井は「あれだけ粘ってつないでくれた。やっぱり何とかかえしたい気持ちはあります」と低めの球に食らいついて先制打を決めた。

 相手の心に隙が生まれた状況を一気に攻めたて、得点に変えた。川相ヘッドコーチは「2死から少ないチャンスをつなぐと相手もダメージが大きい」と納得の表情。原監督も「何とかしなくてはという気持ちが表れている。2死からの1点、2点の積み重ねが大きかった」とうなずいた。

 今週5試合はすべて1点差。そのうち4試合をものにし、DeNAの独走を阻止している。原監督は「もう少し状態が上がってくれば違った戦い方もできる可能性はあるが僅差をものにしていきたい」と力を込めた。空中戦はできなくても、心のひだを突いて心理戦を制するところに、巨人の強さがある。【浜本卓也】

 ▼巨人は杉内の勝ち越し打を含む6安打で勝利。杉内のV打はプロ入り初めて。巨人は前日も6安打で1点差勝利。今季のセ・リーグで6安打以下の勝利数を出すと

 巨人10、ヤクルト4、阪神3、DeNA2、中日2、広島2

 巨人はリーグ最多の10度目で、5月は7勝のうち6勝が6安打以下。他球団が6安打以下では負け越しているのに、巨人は10勝8敗と勝ち越している。

 ◆巨人得点メモ 今季の128点をアウトカウント別に出すと、0アウトから18点、1アウトから48点、2アウトから62点。この日の3回は2死無走者から2点。4月30日中日戦の4回にも2死無走者から出た大田の安打をきっかけに3点を挙げるなど、2死無走者からの得点も15点ある。